内容説明
“オリュウノオバ”が住む路地裏にある七代のろわれた中本の家。そこに、突然生まれた肌の黒い子・マウイ。十歳で女を知り、中本の若衆に育ったマウイは、オリュウの謎のような言葉と中本の血の逆流に突き動かされ、故郷フジナミを棄て、欲望の巷へと向かう……。本書は、『異族』『千年の愉楽』の世界に新しい展開を試みた野心作であり、現代風俗を描き切った作者会心の青春小説である。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
渡邊利道
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中本の一棟で黒人との合いの子マサル=マウイの青春の物語。フジナミの市を出て東京で性と麻薬と拳銃の通過儀礼的遭遇を果たす。産婦人科の夏芙蓉に、老女らが幻視するオリュウノオバが語る浮遊感のある語りの枠組を持っているが、マウイの物語とその蝶番になるようなオリュウノオバの語りの部分が溶け合っておらず、こういう方向もあったかと思わせる可能性の段階にとどまっているように感じる。もっとも熊野集第二部が異族で、その異族の外伝で千年の愉楽の続篇が本作という位置づけになるか。両性具有の性モチーフの出現。2016/06/09




