内容説明
あるじを七たび変えながら立身を続けた藤堂高虎、利害よりも友情を選び関ヶ原に散った大谷刑部、天下の動向を読み巨万の富を築きあげた今井宗久など、乱世を彩り消えていった武士や商人の姿を史料を駆使して追い、権謀術数の戦国時代の実相を浮き彫りにした十七篇。
感想・レビュー
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藤月はな(灯れ松明の火)
34
戦国時代と言ったら司馬正太郎の歴史小説やミラージュ、日本史での知識しか存じておりません。しかし、最初に生まれ故郷でもある伊賀で起こった、天正伊賀の乱から始まり、最後は三人の雑賀孫市への言及で〆た、この小説は面白いと思いました。石田三成の友情に殉じた大谷刑部吉継、出世策士な藤堂高虎や伊達政宗の母と最上家との確執などの有名な逸話だけではなく、今井宗久や茶屋四郎次郎のように日本史では用語でしか出てこなかった人物にも触れていたり、敗北した武将の子孫が後に敵方に貢献を果たしたという記述が多いのが興味深かったです。2014/01/23
茶々太郎
2
和歌山という複雑な歴史を持つ土地に馴染んだ筆者だからこそ描ける話が多く、ある意味で白石一郎を思い起こさせる。それぞれが短いこともあり、読みやすい。佳作。2016/07/31
秋良
2
戦国無双もBASARAも未体験で、戦国もので嗜んだものといえば司馬先生の関ヶ原とサムライディーパーKYOだけ(あと忍たま乱太郎…)の私には初めて聞く話が多く、なかなか楽しめた。負けても一族が根絶やしにされるということは少ないのか、子孫が敵方に貢献することもあったっていうのは独特な感じで面白い。2015/05/10