内容説明
収録中に歌手が誘拐? 多くの人が出入りするテレビ局から、白昼、もっとも勢いのある売り出し中の歌手が誘拐された。しかもその直前、この誘拐を暗示する奇妙な匿名電話が警察に入っていた……ほんの一瞬の隙をついた誘拐の手口とは、そして誰が、何のためにやったのか? 芸能プロやCMスポンサーたちの対応、駆け引き、警察の地道かつ執拗な捜査、そして事件の驚嘆すべきトリック。リアルに描ききった傑作長編推理。刊行1984年。(講談社文庫)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nobby
153
さすが誘拐の岡嶋さん♬売り出し中の女性歌手の誘拐劇を読まされる前半はワクワクの一気読み!中盤からのテレビ・CMなどメディアを巻き込んでの顛末は興味深く面白い!終盤明かされる真相はちょっと出し惜しみ感はあるけど存分に楽しめた。何と言っても、複数目線での場面転換が時系列ほぼ並べて次々とされるのが読みやすい!それでいて、細かい伏線とか大胆ながら文句無しのトリック仕掛けてあるのはお見事!もうマスコミ媒体に躍らされ転落させられのタレントや芸能事務所も過酷だが、何より警察が翻弄され過ぎて気の毒、いや情けないのか(笑)2020/08/05
みも
150
歌番組のリハーサル中に、新人アイドル歌手が白昼堂々控室から誘拐される。犯人からの身代金要求は1億円で、その受け渡し方法は、華やかな芸能界を象徴するような派手な演出…その理由は…。流石「人攫いの岡嶋」これが真骨頂。軽妙にして程よい緊張感。奇を衒う小細工もなく、それでいてトリックは練りに練られたアイディア。要するに王道の誘拐もの。事件を宣伝に利用する切れ者宣伝マンと、被害者をも容赦なく追い詰めるマスメディアの傲慢。一方、冷徹に事件を追う一人の刑事の執念。エンタメ派も本格推理派も納得の超傑作。是非読んで欲しい。2020/02/23
takaC
72
これぞ岡嶋ジック。やや強引だが。2018/12/26
セウテス
72
作者と言えば誘拐ミステリー。白昼堂々テレビ局から若手アイドルが誘拐される。身代金を追う警察が誘拐された被害者を助け出した時、身代金の中身は新聞紙と、お金は受け取ったとの犯人からの手紙に代わっていた。身代金受け渡し迄の緊張感ある展開、犯人はいったいどの様なトリックを使ったのか、とにかく読み出したら止まりません。被害者を使ったコマーシャル会社の宣伝マンの、誘拐事件を利用しようとする姿やマスコミのご都合主義など、並行して進む話は真相に大きく絡みます。伏線の張り方に展開のスピード感と、楽しめる事間違いなしです。2015/12/07
ミホ
65
岡嶋さんの誘拐モノです。テレビ局で売り出し中の歌手が誘拐、舞台が舞台なだけに事務所、スポンサー等々、有名人の周りの機関も動いていく。そしてある男が動く。周囲面々の駆け引き面白かったですね、実際にここまでしっかり考え持った人とているのかなとも思えるのですが岡嶋さん作品は結末より過程がやはり濃いので思惑とか先を見据えた意識も読者に与えつつ、いやー凄い、どこかにいるんですねこんな人(笑)そうだったのか!というよりなるほど!と思わせてくれる作家さんです。2016/08/07