内容説明
現象学こそがわれわれがとりうるもっともラディカルな哲学態度であり、そして、その可能性をさらに推し進めることのなかにこそ、現代思想の混迷を突破する道がある。著者の哲学的デビューの書であり、その原点をいまもくっきりと指し示す本書は、読者に哲学することの意義と歓びを感じさせずにはおかない。
目次
意味とエロス―欲望論の現象学
世界認識のパラドックス
〈差延〉と〈根源〉
実存の根底
超越としての〈外部〉
読みびと知らずのバルト
反=形而上学の源流
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
春ドーナツ
15
あとがきを読んで知ったのですが、本書は竹田さんのデビュー論集でした。図書館には単行本しかなかったので、古書店はどうよ、と覗いてみたら、3冊ばかり店舗受け取りで購入。その週は3回古本屋に通った。まとめて頼めばよいのだけれど、エロス(=欲望)は意識の外から唐突に不ー知性(用語の不備があったらごめんなさい)として襲いかかってくるので、仕方がなかったのだ。経験は意味(複数形です)の回折的連関として私に認識されるので、私には不可抗力なのだ。・・・デビュー作なので、文章が難しかったです。でも私好みの文体の萌芽は感じた2025/08/15
しゅん
14
デカルト、カントに代表される近代西洋哲学は主観と客観の不一致を問題とした。しかし、フッサールはそもそも絶対的な客観は存在しない、したがって不一致は存在しないと説く。あるのは、物や概念を認識する人間の能力だけであり、認識の反復と他人との相互承認が妥当性の高い”世界認識”をうむにすぎない。そして、人間の認識力は、突き詰めれば得体の知れないエネルギーから訪れる。フッサールはこのエネルギーを「志向性」と呼ぶが、竹田はそれを「欲望」と言い換える。その衝動性・外部性を想像させるには、「欲望」の方が適しているからだ。2021/09/04
あかつや
6
竹田青嗣の評論集。現象学は難しいもんだと思っていたが、これはけっこうわかりやすかった。竹田流フッサール解釈と言おうか、特に近代哲学で外すことのできない「主観‐客観」の捉え方が独特で面白い。主観と客観の一致を模索するのではなく、それはどうせ不可能なんだからまず主観からスタートしてそこから先の課題を考えましょうよと。一見独我論っぽいが、それとの違いも説明している。しかしあれだね、この人「欲望」を説明しようとしてまず「どうしても東大に入りたい」なんて例を出してくる。インテリだわあ。そんなの考えた事もなかったわあ2018/12/26
∃.狂茶党
3
主にフッサールを扱い、現象学について書かれている。 この方の本は、哲学ガイドのようなものを読んでいるが、最初の本である本書はとても熱く、啖呵を切るようなところがあり、大変楽しい。 内容的にもこちらの方が、哲学ガイドとして魅力的に思える。2021/04/25
静かな生活
3
4.4◼︎吉本隆明を抽象的にすると竹田青嗣になり、具体的にすると加藤典洋になる。この頃の「現代思想」はあまり読まなかった為端的に驚いた。全く古びていない。未曾有の豊かさの中で乱舞していた表象文化圏と巧みに距離をとり、「本当のこと」を模索しようとしている。80年代は柄谷一強という訳ではない。2019/12/19
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