内容説明
鉄道に賭けた父子二代の熱き技術者魂を描く。草創期の蒸気機関車・磨墨(するすみ)からC53、D51を経て新幹線まで、島安次郎・秀雄の情熱は、燃えに燃えた。彼らが取り組んだ鉄道の仕事は、日本の近代技術史上の一大エポックとなった。外国の技術を日本の条件のなかへ移植し、さらに発展させた父子のドラマを追う。
目次
第1章 黎明期
第2章 鉄路5000マイル
第3章 近代化の見取図
第4章 弾丸列車から新幹線へ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Francis
10
30年ぶりぐらいの再読。島安次郎・秀雄の鉄道技術者父子二代を追った日本の鉄道史。「日本の近代史には、奇妙な不合理性が宿命のようにまといついている。ヨーロッパ系の科学技術を日本に取り入れようとして、そのほとんどを学びえた事は事実だが、その科学技術の根底には、文化と深く関わる近代合理主義の広大な思想の領域があることを、ときに学び損ね科学的な認識を勝手に解釈しては判断を誤り、禍根を残すといった歴史も、日本の近代化の過程では数多く演じられた」(あとがき)という一貫した著者の観点からこの本は書かれている。2024/06/29
あかつや
5
日本の鉄道の歴史を草創期から新幹線開通まで、技術者島安次郎・島秀雄親子を中心に描く。技術者が将来の鉄道事業の発展のために良かれと思って実行に移したいことを、目先のことしか見えてない政治家が邪魔をする。そのしのぎ合いが親子二代に渡って続くって感じで、いやあ大変。そもそもその戦いの中心議題である日本の軌間が狭軌になったことに特別な意味はなく、ただ大隈が知ったかぶりでイギリス商人にまんまとノセられただけってのがね。狭軌の呪いだよなあ。まあ実際は狭軌派にも言い分があるだろうから、そっちも聞かなきゃわからんけど。2020/10/02
無謀庵
1
鉄道技術者である島安次郎・島秀雄氏の伝記のような形で、日本の鉄道史をなぞる本。政治・経済との駆け引きの話もあり、また蒸気機関車の設計・改良の話など、技術の話も多かったりして、門外漢の私にも色々興味深く読めました。2012/11/11
Ryuji Saito
0
文庫にしては厚かったが、一気に読んだ記憶がある。鉄道好きなら知りたくなる狭軌・広軌攻防の物語と、島安次郎・島秀雄親子二代の鉄道にかける情熱の物語。2012/01/16