内容説明
二葉亭四迷「浮き雲」と言えば「近代的自我の発見を告知した作品」というのが常識だったときに著者が用いた方法は、二階の下宿(主人公内海文三は二階に下宿している)という住まいの空間を解読する事で作品を逆照射するというもの。実体としてとらえられてきた人間の自我を空間とことばの網の目によって決定されている関係性としてとらえ、ベンヤミン、バルトからフーコーまで現象学や記号論の成果を縦横に駆使して日本近代文学の流れを都市のコンテクストに即してたどる壮大な試み。
目次
空間のテクスト テクストの空間
開化のパノラマ 「東京新繁昌記」
清親の光と闇
廃園の精霊 「狐」
塔の思想 「佳人之奇遇」
獄舎のユートピア 「最暗黒の東京」
BERLIN 1888 「舞姫」
二階の下宿 「浮草」
子どもたちの時間 「たけくらべ」
町の声
仮象の街 「彼岸過迄」
山の手の奥 「門」
SHANGHAI 1925 「上海」
劇場としての浅草 「浅草紅団」
焦土の聖性
紙のうえの都市 「エーゲ海に捧ぐ」
空間の文学へ 「杳子」〔ほか〕



