民俗学という不幸

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民俗学という不幸

  • 著者名:大月隆寛
  • 価格 ¥2,640(本体¥2,400)
  • 青弓社(2014/08発売)
  • ポイント 24pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784787230515

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内容説明

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「都市民俗学」は存在しない。「常民」は概念ではない。「民俗」など妄想に過ぎない。「伝承」はもはや呪文である。「民俗調査」は自動筆記と化し、研究室はとっくの昔に天使の王国。つまり、おまえはすでに死んでいる。志もなく、希望もなく、より良い未来を選ぶ心意気さらになく、柳田国男、没してすでに30年。ただ、脳死状態のまま、世紀末の高度消費社会に、およそ不幸な延命を続けるこの国の民俗学。その病いのさまをていねいにほぐし、つづり、かたちにする、身についたことばから再び出発するための、渾身の荒療治。

目次

1民俗学という不幸  1 「学者ごっこ」の楽しいゆりかご  2 構造的不幸の諸要因  3 この国の「現在」と切り結ぶために2「都市」とフォークロア  1 フォークロアをめぐる新たな視線  2 「都市」という場所へ  3 都市伝説を見つめるまなざし「都市民俗学」という神話  1 いったい何が問題だったのか  2 「都市民俗学」というもの言いの成立と展開  3 「都市」か「変化」か  4 「都市民俗学」論の抱えていた可能性のために3常民・民俗・伝承  1 腫瘍、あるいはこの国の民俗学における「概念」の自明性について  2 隠されてきたシャム双生児──「民俗」と「常民」の癒着の構造  3 態度としての民俗学の方へ4「カッコいい」のある風景──民俗学とその周辺にとっての一九八〇年代  1 死にゆくものがやるべきこと  2 「ニューアカデミズム」の不思議  3 「ニュー」の構造  4 そして、民俗学のかぶった大波についてあとがき初出一覧

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

半木 糺

8
日本の「民俗学」というものが戦後いかにして知的緊張感を失い。ニューアカデミズムという潮流の中で堕落していったか、をこれでもかと書き記した書物。特に大塚英志批判が鮮烈である。作者は大塚という人間を「ただ「知識人」のふりだけはしておきたい」と喝破している。未だに大塚は「民俗学者」のふりをして中途半端にアカデミズムや論壇の場に顔を出していることを思えば、作者の言うとおり、相当深刻な事態である。文体は強烈で意味が掴みづらい箇所もあるが、大月という人が「知」に対してどれだけ誠実であるかが伝わってくる。2016/06/17

うえ

7
民俗学が抱える問題を鋭く抉った労作。当時流行していた都市民俗学という「神話」にも切り込み、解決策を提示する。読み所は多いが、興味深いエピソードを挙げるならば、上京してきた高校時代の友人の話。「運動部で鳴らしたような男で、僕の知る限り別に深刻に悩むようなタチでもなかった」。彼が週末になるとどこかへ出かけてゆく。山を見に行くという。「なんや知らん山が見えんとな、気持ちが悪いねん」。彼なりの不安解消術。それが彼女ができると「山?なんやそれ」。「どこにでもあるエピソ-ド」から民俗を見る「眼」を考えさせようとする2017/11/15

さとう

0
ニューアカ批判が痛烈。”「難解な」本を小脇に抱え、そこに出てくる目新しいことばや耳慣れない響きの概念を媒介に他人と関わってゆく、そのことだけを目的とした読書。文脈はひとまず問題ではなかった。それらの本を持っている、ということだけが第一義的な目的であり、それらの本に記されているカタカナルビつき翻訳ものの単語を知っている、ということがこの上ない喜びだった。その喜びはまた、次の瞬間には「現代思想」というもっともらしい呪文を付され、その喜び自身の意味を問わずにすむようにたちまちひとくくりに括られていった。関心の焦2012/09/02

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