内容説明
日常の深底に澱む不透明で苛酷な世界。人生の悲哀を呑みこんだ苦いユーモアと豊かな情感とに支えられる阿部昭の小説空間。「自転車」「猫」「窓」「散歩」「手紙」「童話」「道」ほかの短篇で繋ぐ『無縁の生活』、「人生の一日」「水のほとりで」「天使がみたもの」などを収める芸術選奨新人賞受賞『人生の一日』。2つの作品集から20篇を収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
AR読書記録
2
「人生の一日」。目覚ましい出来事によって記憶に刻み付けられるも、やがてそれとうまく折りあっていけるような一日ではなく、それがなぜ自分の記憶にこうもしぶとくくらいついてくるのか、その理由を理解するために一生を要するような、些細にみえてしかし得体のしれないなにかを含んだ一日。自分は...と考えてみると、まあおよそ思い出すのはこういう理由で腹が立ったんだとか嫌だったんだとか、わかりやすい場面ばかりで、もっと自分の深みに降りていくための思考、認識が足りないんだなぁと思う。もったいないことしてるぞ、自分!2014/07/16
shimuratakeda
1
勢いづいてもう1冊。なんだか似たようなモチーフの話ばかりであることに気づいてちょっとダルになったけど、その味わいもまた良いんだなあ。2023/06/20