内容説明
天才詩人中原中也と女優長谷川泰子のロマンスの実相、近代文豪島崎藤村と姪こま子の恋の後日譚、彫刻詩人高村光太郎と妻智恵子の愛情物語の虚構など。――文学史上に燦然と輝く文豪たちの波乱に満ちた一生を陰に陽に彩る女たち。彼らの創作の秘密をときあかす鍵としてさまざまな位置にあった女たちにスポットをあて、著者自らの文学的体験を織りまぜながら語る、ユニークな、女のためのもう一つの文学史。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
安南
39
久々の再読。どんな恋愛小説よりも作家達の現実の恋物語ほど幼い私をときめかせるものはなかった。そんな思春期を思い出し、林静一の表紙画もあいまってか、すっかり甘酸っぱい気持ちに浸ってしまった。自分の事を「貰いっ子」だの「母のない子」と称して作家達の恋愛を母子の関係から分析してみるところは寺山らしく微笑ましい。「たった一人の女」を夢見るロマンチシズムも素敵。ドラマ仕立てで読みやすく、以前読んだ時は気がつかなかったが、女性に対する暖かな眼差しが感じられて…また惚れ直す思い!2014/04/12
双海(ふたみ)
11
表紙が好き。女のためのもう一つの文学史。2014/04/08
u
4
古本屋で惹かれて手に取った。現存の文学史からは見捨てられている、作家と関係した女たちにスポットライトを当て、そこから陰の文学史を読み解く。中也と小林秀雄の三角関係で有名な女優・長谷川泰子や「風立ちぬ」のヒロイン矢野綾子など、どれも好奇心に駆られながら読んだが、いちばん印象に残り、また胸を打たれたのは石川啄木の愛人、芸妓・小奴。ふたりの短い恋と小奴のその後は美しく哀切に響いた。「よりそひて深夜の雪の中に立つ女の右手のあたたかさかな」ほか、泉鏡花の妻・すずや松井須磨子に溺れた島村抱月の話も印象に残った。2017/02/28
メグミ
3
これ面白いのに今は絶版らしい。なんでだ。通説を聞いた時にもやもやした気持ちを寺山が解説してくれたみたいでスッキリした。2014/01/26
ハル
3
男の狡さを指摘し、女性に温かいまなざしを向ける。 もう一度寺山に触れたいと思った。2013/12/23
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