内容説明
兄は多国籍企業の総帥、弟は中小企業の2代目社長。冷徹で攻撃型の兄と柔和で温情型の弟。経営理念も器量も異なる兄弟社長が、ことごとくにぶつかりあう。なぜ、確執を続けるのか。経営とは、かくも厳しいのか。二人の経営者が織りなす凄絶な闘いのドラマを通して、社長の器とは何かを考えさせる経済小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
sayan
15
経営者である兄弟間の争いを描写した経済小説は多々あるけれど、この作品は少し趣がことなる。それは、タイトルにもなっている「社長の器」としてあるべき姿は…、を読者に問いかけてくる内容だからだ。これまでの著者の作品から本書の内容がすべてがフィクションとは思えなかった。が、後書きを読んでみると本書の経営者モデルは実在する。本書の読みどころは、兄弟それぞれの人生観や仕事観を地で行く経営手腕とそこにいる人たちとのやりとり。経済小説は好きだが、本書は昼ドラを見ているようなドロドロ満載内容で少しお腹いっぱいだ。2018/04/21
ふう
3
高杉さんの作品は飾りっけが無く、純粋に面白いですが、この作品は兄弟の確執を描きたかったのでしょうか、あまりにも醜いのと、後半のやり取りがちょっとしつこく感じてしまいました。 ストーリーはシンプルです。2014/01/12
富原
3
兄征一と弟高望との確執と社長としての(人としての)器を描いた本。 ただ、兄が酷すぎて話にならない(笑)、もっと社長としての本質で器の比較をして欲しかった。 最後らへんの裁判のあたりは読むの辛かったです。2013/10/31
黄昏のカーサ
2
まるで戦国時代を思わせる身内の確執。社長とはなんと哀れなものかと痛感させられた。どっちが「社長」らしいのかは決められないが、高望の方が日本的で人間味のある社長で、自分が部下だったら仕えたい方だ。2022/05/01
よむよむ
2
元祖・敵対的M&Aのミネベア社長と、その弟の人情暑い中小企業社長で野党代議士の弟、実在の人物がそっくりモデルだとわかって読むべきでした。それならスッキリしないエンディングにも納得。 兄の冷酷でエキセントリックな性格、弟の人望の高さが強調して対比され、心情的には主人公の弟側に同情したくなる。でも、経営者として出した結果はどうなんだろう。あれほど心血注いだ会社もあっけなく人手に渡ってしまったことを考えると、人間としての誠実さだけでなく、弱肉強食の世界で勝ち残っていく強さ、したたかさも必要だと思えてくる。2019/10/03