内容説明
奈津は不義密通が重罪だと知ってはいたが、小者の小市郎に惹かれ、からだを許した。以来、若い二人は燃え狂う。が、密会は露顕し、夫の茂右衛門は有無も言わせず小市郎を斬った。次の刃は当然、自分へ……と奈津は覚悟したのに、茂右衛門は太刀を納めた。なぜ? どんな仕置が奈津を襲うのか!(『芙蓉』)。直木賞作家が、武家社会の掟に抗う女性を描いた珠玉小説集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
山内正
4
少しも眠気が襲ってこない くたびれた筈なのに 雨の音が耳につく 婚礼の席も落ち着きのなかった夫 左内はもう三度目だ夜も更けたのに 酒を運ぶ女の足音が遠ざかる広い屋敷だと ふじは終わってこの部屋に 行灯の灯が部屋の隅に 今夜初めて会った夫 まずは良縁と伯父の一言で決まり 女の啜り泣く声が屏風の上に顔が おみつと妹に話し出す 貴女を責めてるわけでなく 申し訳無く思っていますが兄を思い切れ無くて 家を出ますこれから荷物は後で 数日し留守にした家で風雨の 夜に屏風の上から女の顔が 覗いている妹と違う顔が2022/02/22
山内正
3
江戸勘定方の不正で五人が処分 寺沢左兵衛も江戸で切腹し 殿の覚えある者と騙された 息子二人は閉門の沙汰が 長男久右衛門は受入れて暮しを 弟弥四郎は妻に実家へ帰るよう 手紙を出したが 妻の実家からは戻る様催促が 止む得ない仕儀と妻に言うが 人を使い離別しろと使いが何度も 仕方なく妻は離れたが 何度も弟に手紙が届く 月のない夜庭に人影が 喜代だ 嫁入りが決まったと知らせに 十日し喜代が嫁いだ三日目に 死んだと知らせが 喜代が死にましたか 弟は死にはすまい辛い事があろうと 2022/02/14
山内正
3
父方の辰が主市之進の病状を聞く 離れで義母ときが看病してるとふじが答える 好色で乳母にも手を出した男が 今卒中で半身が付随で言葉も聞けず 離れに武士が一人 中村殿は閉門と決まり一味は離反し心配無いと 家老派は失脚したと知る 義母は利発な人とおふじは思う どれだけの不始末私の手で何事も無く済ませたか 私であったなら今頃お捨てになさっていますね ええい憎いと夜具を剥がし頬を続けて打った まあーごめん遊ばせ手足の動かない人を相手にしても始まりませんね 口元を拭く2019/12/16
山内正
2
座敷は親戚知己で祝酒で賑やか 殿三男の祝言の取り仕切りに働いて 五郎右衛門は加増され国元で祝いに 四十で前妻を無くし後妻を貰い女の子が出来た 妻の姿がと探し廊下に若党久馬が走り出た曲者らしい者がと 宴が終わり飲み過ぎで廊下に 小さな影が おいちがいた ととかかが怖いと言う 妻は近頃変わった 話もしない事が たびたび ふと昼に久馬の事が頭によぎる 妻の事と繋がる気がした おいちと寝たら廊下に足音がし 子を抱き屏風の陰へ 障子が開いた 曲者と一太刀する 久馬だ 慌てて妻が来て五郎右衛門に斬りかかり二人死ぬ 2019/12/22
山内正
2
旦那様はと妹くにに聞く 何もかも世話になってと病身の姉が 私はもう若くも無く夫をもう一度と いう気も無くくにが言う 姉は家祿も多く夫は殿の覚え愛でたく羨ましいと思う 美しく生まれたくには良縁を得たが 夫が死に若後家で肩身が狭い 夜に義兄が忍び込み拒みもせずに 今夜も酒を飲み あの女はまだ死なぬかと その時影がよぎった 朝姉の部屋に姿が無い 寺にもしやと探しに行くが見当たらない その夜庭で音がし開けると姉が立っていた 酷くやつれて 川で死に切れず戻った後三日して 死んだ くには寝込んたままだ2019/12/02
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