内容説明
喧嘩をしても、まるで「あ・うん」の狛犬のように息が合い離れない男の友情――門倉修造と水田仙吉は、20年来の友達だが、見かけも気性も財力も正反対ときている。門倉は仙吉の妻の秘めたる色香をひそかに愛している。そんな大人の関係を不思議な思いで見ていた仙吉の娘さと子の恋人に召集令状がきた……。昭和10年代の愛しい一途な日本人像を浮彫りにする著者最後のTVドラマ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヘタ
35
「仙吉、おどりかかるようにして門倉の横っ面を張りとばす。」痛かっただろうな。拙い読書経験のなかでは、第一級のラブ・ロマンスっすね。2018/01/01
あきあかね
24
美しい音楽と映像を背景に、男同士の友情と相手の妻への秘めた恋心、三人の揺れる心理を描く、高倉健主演の映画『あ・うん』は大人向けの上品な名作である。 向田邦子の原作を読んでみて気付いたのは、登場人物やエピソードが大胆に絞られている点。それによって映画はすっきりとまとまったものになっているが、原作はより生々しい情念のようなものが感じられた。 日中戦争の軍需景気で羽振りがよく、男ぶりもよい会社経営者の門倉修造と、地味な一介のサラリーマンの水田仙吉。二人はあらゆる点で対照的だが、若い頃に戦友となって以来、⇒2020/01/14
なちょす
6
お座敷遊びとか軍需工場とか設定は戦前なのに、時代を感じさせないホームドラマ。でもちょっと色気もあるのが向田邦子テイスト。君子・たみ・禮子、女性のタイプはちがっても、抱えてるものはみな同じような気がする。2018/01/16
いちⅡ
2
どうしようもない家族のつながり。切れない夫婦の糸2019/02/05
らいよん
2
人間誰しも垣間見る、もしくは持っている人間の恥部を明らかにする。少し気分悪くなる。 安心して読める安定感。2012/07/22