ぼく東綺譚

個数:1
紙書籍版価格 ¥594
  • Kinoppy
  • Reader

ぼく東綺譚

  • 著者名:永井荷風
  • 価格 ¥550(本体¥500)
  • 岩波書店(2013/04発売)
  • ポイント 5pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784003104156

ファイル: /

"Reader"および"Reader"ロゴは、ソニー株式会社の商標です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

251
荷風は初めてだが、概ね想像通りの文体、内容だった。私小説風の語りだが、作家はしきりにそう思われることを避けようとしている風だ。小説内小説『失踪』を設定しているのもそのためだろう。小説は、「わたくし」の一人称で語られるが、その語り手は、あくまでも大江匡だ。ただ、作中の彼は58歳の小説家であり、これを書いていた時の荷風にそのまま重なるのである。小説は、戦前の墨東はこんなだっただろうかと想像され、そこに流れる時間はきわめてゆったりとしている。作家にとってのアジールであり、失われたものへの郷愁だったのだろう。2014/05/05

テディ

87
「退職金を持った失踪した男がカフェ勤めの女の元に行く。」という小説の腹案を練る大江。雨が降る玉の井付近を散策中に傘に入ってきた私娼のお雪に出会う。大江は、お雪の元に通い始めるが彼女から秘密出版に係わる男と誤解を受ける。お雪から借金の返済後に結婚をするよう言われるが受け入れられない大江。やがてお雪の入院を知り玉の井を去る。ときには西洋の模倣文化を批判しながらも季節の移りゆく様、街の風景を克明に描きながら時代を哀れ深く回想し、古き日本の様子を懐かしく紹介している。そういう随筆的小説を十分に堪能出来た。2015/08/24

康功

81
私娼の女性との淡い恋心。墨田川を挟んで、開発された銀座、浅草の今と、昔の風情が残る墨東、玉の井地区の対比から、荷風の理想の女性をお雪に写し出す。半自伝的小説であり、沢山の実在する場所があることから、荷風の暮らしぶりが伺える美しい作品だった。映画化もされたらしいが、やはり原作がいい。2016/11/21

ベイス

63
断腸亭日乗に、偶然出会った街娼と関係をもつことを、「女の身上を探聞し小説の種にして稿料を貪らんとするわが心底こそ売春の行為よりもかえって浅ましき限りと言ふ」と記している。この小説のハイライトであるお雪との別れの背後にも、荷風の後ろめたさが垣間見える。文壇からも家族からも国家からも自由だった荷風。生涯にわたり、浅草などを遊び歩いたが、そこには、小説の材料を集めるといういくらかの「打算」があったのかもしれない。そしてそのことを気にしていたあたり、ますますこのおっさん(失礼)が愛おしくなる。2020/09/06

なつ

54
再読。年老いた作家と東向島で働く私娼の切ない交流。季節の移ろいや当時の風俗が洗練された文章で描かれ、昭和初期という情景がありありと目に浮かびます。粋さを感じさせながらも淡々とした文章も味わいがあります。そして木村荘八さんによる挿絵も物語の情景をより鮮明に見せてくれます。白黒濃淡の筆致で描かれる日常は美しくももの悲しい。2020/12/06

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/530585

ご注意
リンク先のウェブサイトは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」のページで、紀伊國屋書店のウェブサイトではなく、紀伊國屋書店の管理下にはないものです。
この告知で掲載しているウェブサイトのアドレスについては、当ページ作成時点のものです。ウェブサイトのアドレスについては廃止や変更されることがあります。
最新のアドレスについては、お客様ご自身でご確認ください。
リンク先のウェブサイトについては、「株式会社ブックウォーカー」にご確認ください。