内容説明
ヒミコ(卑弥呼)は神に祈ることで旱(ひでり)には雨を、戦には勝利をもたらしてきた。まだ少女でも一族の女王である誇りを全身に漲らせて育つ。あれから20年、男を惹く美貌も妖しさを加えた。それなのに、近頃、神霊に見放されたか、何のお告げも降りない。周囲の眼は尊敬から軽蔑に変わっていく……(表題作) 直木賞作家が資料を駆使し、現代人の呼吸に調和させた会心の作品群。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yamakujira
3
「卑弥呼狂乱」「死霊の都・怨霊の都」「袈裟と盛遠」「消えた野望」「孤島の薔薇」「おふく変身」「名君孤愁」「雪崩れて春来る」「戯作三昧」と、卑弥呼、桓武天皇から高師直、春日局、大田南畝まで9編を収録。史料の少ない卑弥呼の末路とか、貞淑な袈裟像の新解釈とか、古い時代もおもしろいし、主君押込で有名な水野騒動とか、上杉の七家騒動のように、よく知られた話もあらためて楽しめる。高師直は自業自得でも、水野忠辰は不憫でならないな。「雪崩れて~」は藤沢周平の遺作「漆の実のみのる国」の前段としても興味深い。 (★★★☆☆)2018/08/06
クー
1
歴史のオムニバス。いくつか読んだような気がする2023/02/20