内容説明
東京高輪でおきた社長殺しの容疑で逮捕された古沢克彦は無実を叫びながら、獄中で自殺した。兄の無実を信じ名誉回復の再審を弁護士に依頼する妹秀美。だが、公判中の被告人の死は、有罪ではなく無実というのが法律上の建前で再審請求には該当しない。マスコミが騒ぎ、殺人者に仕立て上げられた兄の無実を晴らすために、秀美が打った奇策と意外な事実とは…。真実を問う長編法廷ミステリー。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
したっぱ店員
29
小杉さんの裁判ものが面白いと勧められ手に取る。ぐいぐい読まされたが、ラストの真相はちょっとねっとりしすぎかなあ。瀬能と佳子のくだりも含め(嫌いじゃないけど)昭和の香り漂う作品。ストーリーは丁寧でおおむね好きなので、また他のも読もう。2014/03/04
ヨーコ・オクダ
12
法律上、公判中に被告人が死んだ場合「無実」の状態のままでの死亡とみなされるらしい。ところが、ホンマに無実やった場合でも、逮捕され、マスコミで報道された時点で、世間は「有罪」の印象を持ってしまう。その汚名を晴らそうにも、有罪判決がなされていないために再審請求もできず。このパターンに陥ってしもた殺人事件の容疑者・克彦(拘置所内で自殺)と秀美の兄妹。兄・克彦の事件を再び裁判上に引っ張り出し、真犯人を追い詰めるため、秀美は自ら危ない橋を渡る…。頼みの綱はある人物の良心。最後の最後までドキドキしたわー。2015/12/08
James Hayashi
6
社長殺しの容疑で逮捕された古沢は、無実を叫びながら獄中で自殺。古沢の妹が兄の無実を信じ動く。結果ありきでストーリーが作られているので、あまり馴染めずに読み進めた。結末に少なからずの驚きが隠されていて面白かったが、チョット古臭いというか、陳腐。10点満点中5点2013/08/04
harukawani
4
これは、とてもいい。冤罪を扱った法廷ミステリー。「冤罪」ではなく、正確には「推定無罪」。公判中に自殺した兄は、警察からも新聞社からも凶悪強殺犯として扱われ、妹も婚約破棄などの憂き目を見る。社会的に「犯罪者」として死んだ兄だが、法律上は「無実」であり、再審請求もできない。兄の潔白を信じる妹が打った策とは…?30年前の作品だが、容疑者を犯罪者扱いするマスコミや社会は今も何ら変わらず、やるせなさと憤りを感じずにはおれない。ちょっと安っぽい描写もあるのだけれど、先の読めない展開に驚かされ、楽しませてくれる秀作。2015/08/04
fukky
3
面白かった,先が気になって一気読み。古い本だけど,古くささは感じず。ミステリとしては一級。最後のどんでん返しにもビックリ。良く練られて完成度も高い。小杉さんの作品をこれから追いかけようかと思います。2014/01/28
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