内容説明
現代は威嚇や報償によって人が動く時代ではない。人心掌握のコツは、目に見えないコンディションド・パワーにある。組織を動かすためには、組織を構成する社会的条件に着目することが不可欠だ。該博な知識をもとに、日本社会の特質を引き出し、人の生き方、状況への対処の仕方を様々な視点から示唆する。
目次
第1部 総論としての日本の歴史・文化・経済
第2章 日本人とおカネと貯蓄
第3章 「貞永式目」と日本的資本主義を支えた勤勉
第4章 『貞観政要』と『権力の解剖』
第5章 儒教の異端社会と現代の日本
第6章 渋沢栄一の事績とその現代的な意味
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
金吾
25
山本さんが他の本で述べられている話と重複している部分は多いですが、第2章、第5章は面白かったです。2023/01/16
Nosuke.M
6
日本社会の成り立ちを遡りながら、日本人の資質、組織原則、その上下関係を律して機能させる原則を「社会的条件づけ」として3点(①能力主義、②一揆的集団組織、③礼楽的上下秩序)に纏められている。鎌倉時代に武家法(貞永式目)にて相続は能力順位を認め、日本組織内ではあるラインから上位者の干渉を拒む下位制度という不文律を持ち、上下の「礼」を重んじる日本組織。能力あるもの引き上げ、大枠の方針を示したら仔細な指示は出さず現場に任し、部下を叱責する際には言葉遣いに気を払うことが日本的組織をうまく回すコツ、ということらしい。2022/04/03
有無
1
日本の経済観念や組織に対する意識を顕在化させる良書。2011/11/26
Munedori
0
貞永式目と論語で日本人はできている。すごくしっくりきた。婿養子をはじめ、確かに儒教的という割には血縁を重視してない。いろいろ特殊なんだろうな。2017/10/20
Hisashi Tokunaga
0
石田梅岩の形ある生き物の行為規範論の説明に妙に納得したんだけど、正しい説明だったのかは未検証。「草枕」の冒頭の日本人とフランス人の理解・解釈の差異の指摘はふんふんだった。(2013・3記)