内容説明
かんかん虫とは、ドック入りした船のサビ落としをする港の自由労働者。かんかん虫のトム公は、14歳ながら札つきの不良少年。しかし、曲がったことは大嫌い。彼が傲慢な金持ちを憎むのは、相応の理由があった。少年時代の横浜の見聞をもとにした「かんかん虫は唄う」は、自伝的要素に満ちた異色作。必死に生き抜くお島母子に、幼き日の著者のおもいがこめられた「色は匂えど」を併録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
80
面白かったです、吉川英治作品にしては珍しい、現代を舞台にした作品でした。2編の中編がおさめられていますが、ピカレスク・ロマンや少年の成長物語という色合いが異色だなと思います。現実味を匂わせる雰囲気もあり、すっきりとした読後感でした。ただ、何処となく物足りなさがあるので、続編があったらいいのにと思います。2016/11/11
そうたそ
9
★★☆☆☆ かんかん虫=船のサビ落としをする港の自由労働者である十四歳のトム公を主人公とした、著者には珍しい現代小説。とはいえ、時代は明治。作中で描かれる当時の横浜の風景が読んでいて脳裏に浮かび上がってくる。自伝的要素も含んだ作品とのことで、著者の他の歴史小説とはまた違った読み心地がある。総じてあっさりしており、特別面白いとは思えなかったが、こんなものも書いていたんだという新鮮な気持ちで読めた。2025/02/13
星村
0
『かんかん虫~』は、起承転結しっかりしていて、まるで映画を観ている様な感覚で読めました。『色は匂えど』は、次郎の成長に感動。しかし、最後は尻切れトンボというか中途半端な感じで終わった印象。調べてみたらこの作品を当時掲載していた雑誌が廃刊になってしまったようで、その影響かなと思いました。どちらの話も続編があればいいのになと思いました。どちらもところどころに現実味が感じられるお話でした。2010/08/16
かおちゃん
0
20点2008/12/07
K3
0
かんかん虫は痛快、色は匂へどはすさまじい貧乏のあたりや母と子の愛情はよかったが、終わりかたが盛り上がりにかけるというか・・2023/05/14
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