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内容説明
下剋上の世を生き抜く戦国大名の補佐役として、戦場の天候を占い、種々雑多なジンクスを統轄するなど、陰陽道をはじめさまざまな知識を駆使した軍師・参謀・・その実像はカリスマ性をもって語り継がれてきたため、いまだ謎につつまれている。戦国時代の名軍師とされる山本勘助、山中鹿介、真田幸村、竹中半兵衛、雪斎らの事績を洗い直し、果たした役割を明らかにするとともに、戦国武将にとって合戦とは何であったのかを解明。
目次
1 補佐役の歴史的役割
2 軍師の誕生
3 軍配思想と占筮術
4 軍師養成所だった足利学校
5 軍師の仕事
6 軍師の典型としての雪斎
7 軍師山本勘助は実在したか
8 偽られた軍師の実像
9 軍師から参謀へ
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
紫
3
日本中世史における軍師及び参謀の実像考証本。通俗的な軍師のイメージは江戸時代になってからの軍記物語などで作られたもの。戦国乱世に実在した軍配者は、合戦の日取や方角を占いによって判断していた陰陽師的ポジションだったのであります。軍配者のマジカルな活動を読み解いた前半からは一転、近世的参謀の先駆者だった太原雪斎、中世型に属する山本勘助、物語で粉飾された竹中半兵衛、真田幸村、山鹿鹿之助等々、後半は軍師として名高い武将たちの考証。黒田如水と雪斎を除いて、判官贔屓で敗者が賞揚されているとの指摘が興味深い。星5つ。2019/04/28
いきもの
2
戦国時代、軍師、軍配者と呼ばれるものは実際のところ天気や日取、天文から吉凶を読み取り出陣や首実検の作法を執行する、いわば呪い師のような存在であることを浮き彫りにしていく。後半では実際今日軍師と呼ばれているような人物を例にその人は実際に軍師だったのかそれともただの調略担当、戦巧者だったのかみていく。そして最後に軍師という呪い師から参謀と言うブレーンへの変遷を描いていく。日本の軍師についてだけ(特に戦国)なので少々物足りない。中国の軍師や西洋、イスラム圏の軍師についても知りたかった。2014/12/23
讃壽鐵朗
2
軍師よりも参謀が重要なことが分かった2014/10/13
amabiko
1
中世的軍師から近世的参謀へとの図式は明瞭ながら、その「軍師」の定義が明快ではない。そもそも同時代資料には「軍師」の語が登場しない以上、「中世的軍師」なる概念も成り立たないのでは。軍配者の実態だけを扱った方が堅実だったかも。それでもなお得るところの多い本だった。2021/11/04
紫暗
1
日本で最初の軍師は誰だったのか?という話はかなり面白く読みました。軍師と参謀の差であるとか、軍師とはなんぞやという話ももちろんしているのですが、山本勘助は実在したのか?を始め、山本勘助の行動、真田幸村についてなど、軍師と呼ばれている人達の足跡を追っている部分もかなり多くありました。そこに興味がある人は面白く読めるかと。軍師論という意味では少し物足りなかったです。2014/02/13