内容説明
喫茶店で見た油絵は、亡父が宝物にしていた高名画家の作に似ている。そこから回想はわが家の過去にと及ぶ。父の死、経済危機、姉による絵の売却、さらに姉の私生活の秘密とその死。あの絵は、幾多の人生模様を眺めてきた。人生での休息点「時のカフェテラス」を舞台に人間の哀歓を巧みに描く秀作集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
88
面白かったです。タイトルにカフェテラスとありますが、カフェの出てくる話はあまりありません。どちらかというと「時」を描いているような印象でした。人生の休息地点としての時が存在し、男女の哀歓を感じさせるような雰囲気が好みです。男女の微妙な関係をしみじみとした雰囲気が体に染み渡るような短編集でした。奇妙な味のブラックな短編集もいいですが、このような人生の機微の瞬間を描いた短編集もいいものですね。2016/12/21
KAZOO
9
この短篇集は、カフェテラスと書いていますがカフェはあまり出てきません。それよりも時間が主人公なのでしょう。あまり怖いものはなく物足りない人がいるとは思いますが、時を媒介にして哀歓を漂わせる感じで私には好みの短編集でした。2014/05/18
takaC
9
就眠儀式/フィルダ-ズ・チョイス/女友だち/運のいい男/道連れ/帰り水/冬子/深夜劇場/尾行者/南へ行った男/真夜中の料理人 (1989年10月読了)1990/05/11
MIKETOM
6
『時のカフェテラス』このタイトルを本屋の棚で見かければ、つい手にとってしまいたくなる。ちょっとオシャレで軽くて知的で品がいい、そんなイメージを抱いてしまうかな。で、実際に読んでみれば、半分ぐらい当たってる(かも)。奇妙な味が持ち味の阿刀田だが、実際は普通の短編もよく書く。ある日の出来事の一コマを描写することによってその人の人生を垣間見せるという手法。「黄の花」最近開店した近所の喫茶店。その店に昔我が家に飾ってあった絵画がかけてあった。それを見て、幸福だった子供時代、やがて父の死によって幸せが崩れ去り2018/07/08
ふみえ
6
かなり期待して読み始めたら、喫茶店メインは数編でした。男女のお話しが多くあまり好みではないのですが、自分の生き方を振り返ってしまいました。「違う生き方もあったかも」なんて。中年になると前だけを見て邁進するエネルギーはないし、振り返る後ろも結構あるので、困ったものです。2014/05/28
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