吾輩は猫である

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吾輩は猫である

  • 著者名:夏目漱石
  • 価格 ¥726(本体¥660)
  • 岩波書店(2012/11発売)
  • ポイント 6pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784003101018

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

412
猫による語りはきわめて斬新だが、全篇一貫してというのでないのは残念。苦沙弥先生をはじめ迷亭や寒月らを交えたかけあいは、江戸落語のようだなどと評されるが、ここではもはや江戸の姿は消え、まさに東京の、しかもカーライルやデル・サルトの話題が飛び交うような教養人の談義が繰り広げられる。また、途中で旅順陥落の話題が出るように小説の連載時はあたかも日露戦争の真っ最中であった。彼らはそうした世間からは離れた、それこそ高等遊民だったのだろう。漱石もそのことを重々自戒していた。小説の結末にも、漱石らしいペシミズムが窺える。2017/02/22

ykmmr (^_^)

105
「吾輩は夏目である。」なんだろう。漱石は面白い人ですね。猫目線で、自分自身や周りの人を表現しちゃうんですから。まずはその発想に笑えます。内容も先入と客観が上手く入り混じり、女性に対してはちょいと酷いですが、夏目流の「もののあはれ」があります。猫殿は、最期は自分の役目を終えたのでビールに落ちた訳ですね。重い作品も多い漱石作品。これと、『坊ちゃん』は読みやすいわ。2021/11/07

Gotoran

62
秋山豊著『漱石の森を歩く』を読み、漱石作品と再会したくなり、今回は岩波文庫版でトライ。漱石40歳の云わずと知れた処女作品。猫の視点から(漱石がモデルらしい)苦沙弥先生とその家族、珍客、隣人が引き起こす小事件や珍騒動が軽いタッチで描き出されている。その中には富国強兵、文明開化で近代化・西欧化していく世相への批判や台頭する資産家階級、それに媚びへつらう人々などの人間のおぞましさがユーモアたっぷりに面白可笑しく炙り出されている。やっぱり名作だった。2021/08/20

Y2K☮

61
漱石文学のプロトタイプ。ほぼ同時期に書かれた「坊っちゃん」の気配を感じるのは当然だが、後の「虞美人草」や「三四郎」「野分」「道草」の色まで見える。恋へのフォーカスが弱い分、諧謔や諷刺が強く、広くて深い教養の海に溺れている所へ語彙のマシンガンが炸裂して全身蜂の巣。しかも笑いが止まらない。猫が時々「にゃー」と鳴くのも嬉しい。先生が銭湯で他の客を怒鳴りつける件は多分漱石の実体験。芥川龍之介がその場にいたという話をどこかで見た。安易な西欧化&個人主義化への警鐘も相変わらず。処女作なのに「明暗」と並ぶ集大成な一冊。2016/01/20

あきぽん

54
朝日新聞の連載で1年間かけて、今まで挫折していた名作を完読しました!難しい教養が散りばめられてはいるけど、内容的には超ゆるゆるの日常コメディでした。漱石は難しい人だったそうだけど、メタ認知(=自分のことを客観的に観ること)が出来てお笑いに変えられる人だったんだなと思いました。人間や猫の営みは本当に明治の世も平成の世も変わらないですね。最後の章で近代文明論が飛び出し、文明が進んで個人が自由になると結婚難になるとかうつ病が増えるとか、100年後の現代を予言しているのには漱石先生の慧眼に感服いたしました。2017/03/28

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