内容説明
喧燥と異臭、猥雑の入り交じるバンコク・チャイナタウンのはずれに建つ楽宮旅社。一九八〇年、そこはラオス難民や娼婦や、マリファナと酒と倦怠の時を求めて淀む日本人若者の定宿でもあった。博打打ちの狂犬病氏、フリーライターのフグやん、ガイドの成島くん、ボランティア志願・鼻くん、ドラッグ中毒・九車(くぐるま)……日本の都会の人間関係を逃れ、戦闘の続くアジアの片隅にひっそりと息づく若者たちを描く話題作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あっきー
16
⭐3 バンコクのチャイナタウンの売春ホテルの汚い面やカンボジア難民キャンプ、タイの政治状況など色々なシーンをもつ小説だった、40年も前の話で今では変わっているとは思いたいが下品で汚くて悪くて出版が許されないような話なので上品なお嬢様にはお薦めしない2024/03/18
hiratax
0
再読。連休旅行で読み通した文庫本はこれだけ。 中華街の堅いベッドの上で読む。 いつも映っていたNHKの英語放送が無くなっていたので隔絶感が極まった。2013/05/08
吉倉槇一
0
バンコクの中華街に実在したホテルを舞台としたモデル小説。1981年刊。日本の生活に疲れてタイにやってきた中年作家の眼を通して、ストリートにうごめく得体の知れない日本人達の生態を活写する。時代は東南アジアがカンボジアを巡る紛争の渦中にあった1980年前後であり、当時の政治状況の記述も含まれるが、こうした要素はむしろこの作品の背景にすぎない。この小説の主眼は、うらぶれたホテルにたむろする日本人旅行者の特徴を仔細にあぶり出すことにあった。日本の初期の貧乏旅行者=バックパッカーの実態を知る上できわめて重要な作品。2012/12/31
1977年から
0
1987年