内容説明
自我にとじこもる一郎の懐疑と孤独は、近代的人間の運命そのものの姿である。「行人」の悲劇は、単なる一夫婦の悲劇ではない。人間そのものの心の深淵に、その宿命的な根を求めなければならない性質の悲劇だ。「死ぬか、気が違うか、宗教に入るか」主人公の苦悶は、漱石自身の苦しみでもあった。大正元年作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
koke
7
“斑な雪、枯れ枝を揺ぶる風、手水鉢を鎖す氷、いずれも例年の面影を規則正しく自分の目に映したあと、消えては去り消えては去った。” 不穏な状況への対処を先送りにし時間だけが経過し春を迎えたことを表す、この表現が見事だと思いました。2023/07/10
あなた
4
近代知によってはざかいにたたずみ出口なしの状態となった一郎が、最後にぐうぐう寝るという赤裸々な身体的暴挙に出たのが大事。しかも、ここではその身体を観察され、記述され、文字化されるということも大事。近代のゆきづまった身体のありやうは容赦なくこの幸福と不幸のはざかいにある。そして、その身体論的地平においてカフカの『城』の眠れないKの身体と共鳴しあうのがまた漱石テクストの力技。2009/07/09
オッキー
3
★★★★☆2022/10/25
NICK
1
プレ『こころ』とでも言うべき構成。一郎をただメンヘラ扱いしたくなるが、「信用できる神がいない」というのは自分にも通じる悩みだと思った。2010/10/26
ã‚や
0
主人公の話と思っていたら、この時代の、家族の人間模様が解りやすく描かれている感じ。三人兄弟みんな性格が違っていて、そこに両親と嫂が絡んでいて、日々がつづられている。言葉が祖母が使っていた言葉で、「おー!」って思った。2017/11/09
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