内容説明
足利政権の末期、京に一人の若者が現われた。若者の名は、塚原新右衛門高幹(たかもと)。常陸の国鹿島に伝わる剣技をたずさえて、兵法修行の旅に出た、後の剣聖・塚原卜伝の若き日の姿であった。十有余年後、鹿島に戻った新右衛門は、一朝、鹿島神宮の神木の前で、ついに秘伝“一の太刀”を完成する。新当流の一流をたてた彼は、やがて新たな修行の旅へ出た。剣に命を賭けた男を描く傑作時代長篇。
感想・レビュー
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churu
1
NHKで堺雅人が塚原卜伝を演じていた時に小説で読みたくなったのだが…原作の津本陽は文体が苦手、峰隆一郎だと半ばポルノだし、池波御大の卜伝主役の話は短編かつ晩年の物語。さてどうするか?という時、たまたま古本屋で中山義秀の「塚原卜伝」に出会った。何と言ってもこの作品の魅力は盲目の少女玉路の健気さに尽きる。新右衛門の玉路への感情や行動はどこか屈折していて意味不明なのだが、齢を経て再会しても一途な健気さを失わない玉路の姿が爽やかな読後感を残す。古い作品だけど、時代に埋もれてしまうのがもったいないほど面白かった。
箱付き
1
かっこいい2010/09/17