内容説明
シャワーを浴びた後、純白のバスタオルで身体を包み、オーソバージュをすり込み、肌色のシルクの下着をまとう。そして、冷えたグラス一杯のシャブリとシガリロを一本。――自分を確実に幸せな気持ちにしてくれる小道具たちを配置して、阿里子は男に会いに行く仕度をする。経済的にも、美貌にも恵まれている三十八歳。しかし、人生の秋の日にさしかかっている、と気づいた時、阿里子は潔い決断をする……。シリアスな問題をしゃれた会話体で、華麗な空間の中に浮きぼりにした長篇小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kirin
19
本好きさんの紹介本。季節が秋のうちに読みたかった。▽経済的にも美貌にも恵まれている、39歳の「阿里子」。夫と娘と暮らす、彼女の生活を綴った物語。自分も夫も不倫しており生々しく真実味があると思う反面、こんな夫婦、こんな親子はかなり現実離れしているとも思う。ほとんど会話でなりたっている小説で、初出は1987年。多少古い感じもするが、洒落た文体の小説。思い切り気取った雰囲気の森瑤子さんの世界を堪能できました。2016/10/27
コガニ
5
阿里子について。わかるところもあるな、違うけど、どこかが似てるなと思いました。2015/07/03
りりこ◎へっぽこ
1
デヴュー作「情事」の夏から、人生の秋へと移ろいゆく‥‥‥‥。 そのことを意識して書いた作品なんだこれは! と、やっと気がついたわたしって、バカ‥‥‥‥‥。 今読むと、森瑤子しか描けない世界だよなとため息が出る。ゴージャスを描ける作家は他にもいるけど、デカダンスだわ〜。2015/07/06
shi
0
☆☆☆2018/05/14