内容説明
川は人間を育み、人間は川の恵みによって文明を築いた。川の畔りに立つと、往古の人々の姿が鮮やかによみがえる。――悠然と横たわる黄河や揚子江。沙漠の砂の中に消えていく西域の川。セーヌやラインなど伝統を背負ったヨーロッパの川。……著者が旅の中で出会い、心を奪われた〈歴史の川〉〈沙漠の川〉の魅力を余すところなく伝える。自ら撮影したカラー写真45枚を添付。
目次
詩４篇（まえがきにかえて）
黄河
旧黄河
渭水
岷江
揚子江
揚州の運河
洛東江
漢江
ソロ河
疏勒河
黒河
ホータン河
ケリヤ河
ニヤ河
チェルチェン河
ハルメラン河
チャルクリク河
タクム河
インダス河
ユーフラテス河
ナイル河
カーブル河
スワット河
ゴルバンド河
セーヌ河
ライン河
ネッカー河
ドナウ河
エルベ河〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さっと
9
井上氏のシルクロード紀行をいくつか読んでいく中で知った一冊で、取材や旅で目にした主にアジア・ヨーロッパの河川が舞台。自身の作品に関連している韓国（風濤）、中央アジア（シルクロード紀行各種）、シベリア（おろしや国酔夢譚）がある中で、ジャワ島のソロ河や、ヨーロッパのセーヌ、ライン、ドナウ、アムステル河が新鮮。上流・下流、四季によっても様相を変えるものの、古くからそこにある悠久の歴史をたたえた河川。奥深い。2022/11/26
Ｋ子
1
著者の井上靖が世界各国の５０くらいの川の河岸に実際に行ってみて、見える景色やそこから受ける感慨、その川の背負っている歴史などを綴ったエッセイ集ということになります。 とにかく、世界各国のあちこちの川に実際に行っていたものです。ヨーロッパのセーヌ河やライン河なら実地に赴くのもそれほど難しくはないでしょうけど、西域に魅せられた井上靖だけあって中央アジアの川が多い。サブタイトルにある通り沙漠を突っ切って過酷な旅をしてようやく辿り着ける場所にまで行っている。 2021/03/19
