ハヤカワ・ミステリ文庫<br> 名門

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ハヤカワ・ミステリ文庫
名門

  • ISBN:9784150707217

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内容説明

〔競馬シリーズ〕名馬を種付けした子馬に次々と奇形が生まれた! 生産牧場に融資していた商業銀行エカテリン社の青年重役ティムは事態を救おうと死力を尽くすが……何者かの陰謀か? としたら何のために、またどうやって? 名馬の血統に賭ける生産牧場と名門銀行家の苦闘を巧みなストーリイ展開で描く。/掲出の書影は底本のものです

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

bookkeeper

29
★★★★★ 再読。主人公は銀行の融資担当。書名(名門)と職業から、堅苦しく退屈な印象を抱いてしまいがちながら、中身は実に良いです。食わず嫌いせずにぜひ。  名馬の種付事業に対する融資が予想外の事態から危機に陥る。種付のビジネスモデルや英米の違い等興味深い。生命の営みや息遣いが感じられ、それだけに生命の尊厳を踏みにじる悪役の手口が憎らしい。サイドストーリーは敬愛する上司の妻への恋の行方。互いに思いながら一線は超えない…?決着の付け方もお楽しみに。 「胸が裂けるような思いを味合わせるんだよ、馬というやつは」2020/07/13

背番号10@せばてん。

23
1988年10月24日読了。競馬シリーズ第21弾。ディック・フランシス、2010年永眠。自分に多大なる影響を与えてくれた、巨星に心より合掌。(2024年4月30日入力)1988/10/24

nagatori(ちゅり)。

18
ハヤカワのクリスティを読む度に後ろの広告で名前を見て、そして何年もそのまま通り過ぎていたディック・フランシス。初読みです。…もっと早く読めば良かったー!犯人の非道っぷりは許せないけど、主人公の周りの人物達がなんて優しいことか。推理以外の所、恋愛、家族、同僚、様々な人との繋がりが温かく、主人公の素直な人柄が想像できて読んでいて気持ちよかった。後書きではこの作品の主人公は“シリーズ中では地味な方”だそうだけど、いやいや好青年でした。あ、「どこでも開けられる万能カギ」には笑いました(笑)万能って!2015/04/19

ぺぱごじら

18
『彼は君を好いていた(しかし)』『私は彼女を手に入れたい(だが)』『彼女はその瞬間まできっと幸せだったはず(だけど)』といういくつもの『but』が背景にあり、読んでいて切なくなる。作品全体のタッチに不条理に満ちた彼らを労るような優しさを感じるものの、事件自体はとても救いがなく、シリーズ通して犯人に最も嫌悪した作品。若き銀行家が着実にステップアップする姿にとても好感が持てるし、見守る周囲の大人達にも敬意を持てる。2014-072014/01/19

本の蟲

15
有名翻訳ミステリ〈競馬シリーズ〉21作目。原題のBankerなら誤解することはなかっただろうが、てっきり競馬場・乗馬クラブ・厩舎の事と思っていたタイトルが指しているのは名門銀行。若くして取締役となった主人公の判断で、名馬を種牡馬として購入しようとする牧場主に巨額融資を行うが…。競争馬の生産者は何で儲けて生活していくのか。種付権の売買・株化による分割等、賞金や賭けの払戻し金に目が行きがちな華やかなレースの裏側を詳細に知れるのが面白い。無事解決したとはいえ、犠牲者も出した事件はほろ苦い結末2025/11/26

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