内容説明
「20歳の時以来、私は不幸というものと同居しているような歳月を生きたが、同居はしているが自分を不幸だと思ったことはなかった……」会社の倒産、莫大な借金、二度の離婚と、波乱と苦闘の人生を前向きに乗り越えてきた愛子センセが最近の世相、親子の気持ち、世代のこと、親しい友人のことなどをざっくばらんに語る辛口エッセイ。
目次
男のもの差し女のもの差し(訪れた交代の時代 もしも私が男だったら 私にとってのいい女、いい男 男のエチケット)
こんな暮らし方もある(ガラスの部屋 名文を食べる 一流顔をしない一流 桜と私 私ときもの)
幸福という名の武器(沈黙の重み 狂気の時代 私と大阪 窓下のイメージ)
親の気持ち子の気持(なに故我が娘には虫つかず 反面教師に学んだ娘 ガミガミババアの失望 優しさを求めて優しさを失う)
仲間と私の部屋(天才川上宗薫 遊び仲間 俳優の中の俳優 美輪明宏のふしぎ)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
新地学@児童書病発動中
103
読んでいて、胸が晴れ晴れとしてくる素晴らしいエッセイ集だった。歯に衣着せぬ物言いで、人間社会のうらおもてをずばりと述べていく内容に、そうだそうだとうなずいてしまった。マスコミの報道の仕方を、全て商売と繋がっていると指摘するところなど鋭く的確な見方だと思う。「人生は美しいことだけ憶えていればよい」は一番印象に残るエッセイだった。沢田美喜という女性の生き方を描きながら、生きる上で一番大切なことを教えてくれる。「贈り物は人なり」もほろりとする良いエッセイ。佐藤愛子さんの優しさが滲み出ている。2018/07/16
Gen Kato
3
再読。頷かされてばかりのエッセイなのですが、とりわけ「最高の友は最低の夫」ってすごくよくわかります。2015/02/08
ずず
0
「そもそも茶の間の感想などというものは、井戸端会議と同じで無責任、面白半分のものなのである。その価値基準となるものは、“好き嫌い”なのだ。好き嫌いは茶の間でしゃべっているものであって、人に強要すべきものではない。」(41頁)2021/01/26