内容説明
ニューヨークの電車の中で起きた奇怪な殺人事件。おそるべきニコチン毒をぬったコルク玉という新手の凶器が使われたのだ。この密室犯罪の容疑者は大勢いるが、聾者の探偵、かつての名優ドルリー・レーンの捜査は、着々とあざやかに進められる。“読者よ、すべての手がかりは与えられた。犯人は誰か?”と有名な挑戦をする、本格中の本格。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
みや
35
満員電車で起きた殺人をドルリー・レーンが謎解く悲劇シリーズ第1弾。念願の初エラリー。本格ミステリを代表する作家さんならば必ず伏線があるはずだと慎重に読み始めるものの序盤は面白味を感じられず、影響を受けた後世の作品に触れているため、新鮮味も薄い。だが、犯人が明かされる決定的瞬間に至り、知らぬ間に自分が作品世界に没頭していたことに気付いた。興奮と衝撃に体がゾクッとする、あの大好きな感覚に襲われて嬉しい。探偵が耳の遠い老人なのには驚いたが、穏やかで茶目っ気があり、落ち着きと華やかさを兼ね備える彼がとても好き。2017/11/25
Ryuko
27
ドルリィ・レーンの芝居がかった物言い、仕草に引き込まれて読む。Xの意味は、それだったのか!こんな魅力的な探偵を今まで読まずにいたとはもったいなかった。次は、名作との誉れ高すぎて、いろいろなところでネタバレにあい、トリックと犯人がうっすらわかっているYの悲劇へ。2019/03/20
きのこ
24
初エラリー読了。ぎこちない英訳が残念。1932年発刊を考えると多少のご都合主義は許容範囲。最後の謎解きを含め十分楽しめました。xが車掌のパンチとは何とも洒落てる。解説によるとXよりYの評価が高いんですね。積読してあるYが楽しみ。2015/11/09
ホームズ
21
『Yの悲劇』よりもこちらが好みですね(笑)クイーンの作品ではこの『Xの悲劇』『途中の家』『エジプト十字架の謎』が好きかな~(笑)他の作品ももちろん好きですけどね(笑)ハヤカワ文庫版は初めて読んだけど登場人物の名前が創元推理文庫や角川文庫のとは少し変わっているのが気になった(笑)2011/07/01
おぎにゃん
18
遠い青春時代以来の再読。だが、何もかも忘却の彼方に飛び去っていて、初読状態で楽しめた…本格推理小説のネタがいくつも残っていた時代の作品だからだろう。とにかく初々しい。現代本格推理小説は、どうしても過去の作品を引き合いに出されがちで、某作品の二番煎じだのオマージュだのと、作品そのものとは異なる観点で評価されがち。それがケレン多用となり、読者を選ぶ理由になっているような気がする。だが、本作はその「某作品」に含まれる立場だけに、堂々とした印象。ケレンも何もない。我こそ本格なり!的な感じで清々しい大傑作である。2016/10/12




