内容説明
没後何年たっても志ん生のレコード、テープの売れ行きは、他の追随を許さない。「去る者日々に疎し」の古諺は、この人には当てはまらない。戦争も、売れない芸人の悲哀も、すべてを芸のこやしにして、見事に開花させた闊達さ。名前を覚えてもらうのがなにより大事な仕事で十六回も高座名を変え、師匠まで何度も取り替えた自由奔放さ。極貧時代の思い出を自伝『びんぼう自慢』にしてしまう諧謔精神。思うままに生きた八十三年の人生を、生前の面影ありありと活写した評伝文学の傑作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ナツメッグ☆
7
「志ん生」は、「真生」なんだ、なるほどと納得。リアルタイムでは残念ながら間に合わなかったが、残っているテープ、映像で聴き見る志ん生の飄々とした芸風、やはり並大抵の修行でつくりあげられたものではなかった。十六回も芸名を変えたことからも伺える。戦前、円生を脇に置いて当時中国の大連にいた森繁久彌に向かって志ん生が、「森繁さん、あんたもちょっと稽古すれば円生ぐらいになれるよ」といった逸話も楽しい。息子二人を、落語家馬生、志ん朝に育てあげた功績も大きい。2013/11/03
OMO
1
面白さ:○ 興味:○ 読みやすさ:○ 新鮮さ:○ 文学的云々:×2020/03/28
やいとや
1
最近むしょうに落語が聞きたくなり、それと合わせて再読。近すぎず遠くなくの距離感がいい。志ん生の日常の言動に「フラ」のもととでもいうようなものがうかがえるのが楽しい。晩年、名成し遂げたのち、抗うのに疲れたとあるが、その志ん生しか知らないわけだ。抗っていた若い志ん生を見たい聞きたい。となると「志ん生一代」の再読につながる。でも、漱石になぞらえて小林信彦が言うように、同時代に生きられた人は幸せだよなぁ。2013/03/26
kera1019
1
やっぱり志ん生師匠の芸人としての生き様はカッコい〜なぁ… 「藝と商売」がいかにも志ん生師匠って感じで良かった…2012/06/14
わせりん
0
志ん生がありありと現れた。読んでいて好きなのがよくわかる。2017/06/22