内容説明
昭和十五年十一月二十五日朝、元老西園寺公望死去を報じる新聞には、野村吉三郎海軍大将の「超大型」駐米大使就任の記事が載った。その朝、引き揚げ日本人客を乗せアメリカから横浜に帰港した新田丸から、二人の米国人神父が上陸する。出迎えたのは予備役海軍少将山本信次郎だった……。対日輸出禁止、渡航制限など、最悪の時期を迎えた日米関係を打開すべく水面下ではさまざまな動きが進むが、現実に進行したのは、相互理解の拒否、善意の拒絶、強圧と屈服要求だった。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nobody
7
これは相当酷い本である。東大卒者の著書なら一定の品質保証と看做せるものだが、本書はそれさえ損なわしめる。昭和天皇の事績を読もうとして100頁以上に渡って熊沢天皇のことが書いてあったらどう評価するだろうか。それがこの本である。神父や井川忠雄らの「まことに非合理かつ非現実的な」工作が延々と描かれる。信用の核がなく突っ込み所の上に叙述が浮かんでいるようなものだが、例えばその「日米諒解案」においては陸軍が撤兵を譲歩していたという。事実は軍部が撤兵を認めたことは一度もない(だから本書が正しければ新説である)。唯一の2022/09/08