角川文庫 三角館の恐怖

著者名：江戸川乱歩

KADOKAWA（2014/08発売）

• ISBN：9784041053089

内容説明

深夜、三角館とよばれる西洋館に一発の銃声が響いた。くぐもったような低い銃声であった。老人は心臓を撃たれ、即死していた……。暗く広く、陰気な墓場のような二等辺三角形のいびつな建物。その中では、双生児の老人を含む二組の家族のただれた欲望がうごめいていた。十数億の財産の相続をめぐって起きた第一の殺人！　不安をかきたてる前奏曲か、ふいに訪ずれ消えた来客の正体は？　三角館の恐怖／算盤が恋を語る話／月と手袋／モノグラム／火縄銃／を収録。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

[Yu。]

元は一軒の館を真っ二つに区切った三角館なる洋館‥ その異様さは建物自体だけでなくそこに住む者達もという愛憎渦巻く人間模様から繰り広げられる凄惨な遺産相続劇｢三角館の恐怖｣。“彼”に一杯奢ってあげたい‥ と読後に思うのは私だけではない筈だ｢算盤が恋を語る話｣。警部と犯人との心理戦の影に明智あり‥｢月と手袋｣。甘さと苦みは紙一重‥美談潰しのブラック落ちが最高！｢モノグラム｣。その見事な種明かしは今尚も斬新｢火縄銃｣。の五篇の中短篇集。。お気に入りは、着地のトホホさに痺れる｢算盤が恋を語る話｣ ｢モノグラム｣。

2017/03/06

[出世八五郎]

昭和49年1月30日初版発行版目次『三角館の恐怖』『算盤が恋を語る話』『月と手袋』『モノグラム』『火縄銃』収録。翻案表題作は正当性過ぎ、奇抜な乱歩を求める読者には合うか？『月と手袋』に“らしさ”を感じた。

[渋谷英男]

三角館の恐怖、算盤が恋を語る話、月と手袋、モノグラム、火縄銃。本格的作品とペーソス暗号物。☆3.5

2022/11/12