河出文庫<br> 食人国旅行記

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河出文庫
食人国旅行記

  • ISBN:9784309460352

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内容説明

許されぬ恋におち、駆け落ちをしてヴェニスにたどりついたサンヴィルとレオノール。二人はこの水の都で離れ離れとなり、互いに求めあって各地をめぐり歩く。――本書でサンヴィルが回想するこの冒険旅行は、波乱万丈の展開をみせるが、なかでも異彩を放っているのが食人国と美徳の国の登場で、ここにおいて、サドはそのユートピア思想を鮮烈に表現している。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

みや

30
駆け落ち先で誘拐された妻を探して各地を巡る物語。題名は過激なのにグロが無くて残念だったが、それぞれの国の事細かな説明が非常に面白かった。悪徳か美徳かを決めるのは、それまで棲んできた場所の習慣であり、それに囚われた偏見に過ぎないという考えが特に興味深い。自分で決めたつもりでも選択肢から選んだだけではないか。本当に自分の意思や好みで選んだだろうか。これまで使ってきた『自由』という言葉の生温さを痛感する。全てが極端な両国の様々な点に共感や納得した一方、一人の女のためにここまでする男の言動が最も理解できなかった。2018/02/09

吉野ヶ里

11
タイトルから予想されるよりも、内容はマイルド。なんと尻を舐めないのだ! 少し理屈っぽい冒険小説であり、わくわくしながら読める。旅をするのは悪徳の支配するビュテュア(食人国)と美徳の支配するタモエ。一般的で、清濁ともにある主人公の目を通して、各々の理屈を見てゆく。タモエはタモエで生きにくそうだと思うけど、ビュテュアだと生き残るのが難しそうだと思いました。性別によってはビュテュアの方が好ましい方も多いかもね。タモエだって理屈立ててはいるけれど、人間の欲望を押さえつけている。レズビアンは生き残る術がなさそう。2020/05/12

ラウリスタ~

10
うん、これはあれだな、勝手なタイトルつけんな澁澤!ってやつだな。18世紀のユートピア小説の最高傑作のひとつなんじゃないか。おもに二つのユートピアに行く。一つのユートピアは、アンチ・ユートピア。西洋文明の常識に捕らわれた主人公にとってはまさに地獄。それなのに、彼らの言うことは、なんだか妙に説得力がある。そして、もう一つが、ほんとのユートピア。西洋、アンチ・ユートピア、そしてユートピア。道徳とは、宗教とは、法律とは、監獄とは、統治とは・・・って議論が延々。これは予想の斜め上。理想的社会主義の理想郷?2013/03/16

Ayah Book

6
駆け落ちした恋人同士が離れ離れになってしまい、各国を巡る冒険譚。このドタバタが意外に面白い。そしてまたサドお得意のお説教が長い。社会主義的なタモエの政治は共感する部分もあるが、現代の感覚だと頷けない部分も。それを差し引いても、確かにサドは進んでるとは思う。2019/07/03

shiaruvy

5
△本棚捜索後詳細記入 やっぱりサド侯爵は素敵すぎる!!2017/12/29

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