内容説明
巨魚に挑む男たちを描いた直木賞受賞の大ロマン。長崎県西彼杵半島の西海岸を舞台に、二人の釣り名人と怪魚イシナギの死闘劇の幕は切って落とされた。まるで潜水艦のような黒い影が潜む海中に、特殊な工夫を施した必殺の仕掛けが送り込まれていった……。他に中編「赤い海」を収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
遥かなる想い
166
第90回(1983年)直木賞。 長崎を舞台にした気骨ある漁師たちの物語である。 ひどく男臭い展開が 新鮮で心地よい。 永淵と岸浪という稀代の漁師が追う巨魚 …二人の人生も男らしく 読んでいると、なぜか懐かしい。無骨で頑固だが、日本の親父で ある男たちの物語だった。2018/06/11
hit4papa
41
タイトル作は、巨大魚に挑む二人の老名人の物語です。互いの実力を認めながら、憎悪とも言える敵愾心を持つ二人。長崎を舞台に、数年に渡る緊張感漂う協力関係が描かれます。一筋縄ではいかない獲物に翻弄されながら、チャレンジを続ける名人の意地。釣りを題材にした、一種の芸道小説と見ることができます。長時間もの死闘を繰り広げた末の、最後の勝者は誰?ラストは、これ以上ない締めくくり方であり、清々しい余韻を残します。「赤い海」は、赤潮で九百トンの養殖ハマチを失った漁業関係者たちの物語です。こちらもアツイ!【直木賞】2021/11/01
JUN
15
面白かったけど、少し古い作品+方言があって、読みづらかった。2018/04/25
MIKETOM
6
第90回直木賞。名人と呼ばれた二人の漁師。一人はもう十年越しに幻の巨大魚を追っている(もう一人は二年)。年に一度しか漁のチャンスがない。極太の針とワイヤーを使えば成功するがそれは名人のプライドが許さない。あくまで磨き上げた技で釣り上げなければ。二人は強烈なライバル意識を持ちながらも、巨大魚と格闘しているうちに同士のような友情が芽生え始める。やがて最大のチャンスが訪れ、巨大魚は釣りあがるのか!?なかなかイキなラストでありいい余韻を残す作品だった。他の一編『赤い海』も赤潮に汚染された海と格闘する男たちの物語。2024/08/25
小はる
5
面白かった。大人二人の経験と知恵と意地の出し合い。どうなるんだろ、ってワクワクした。人物の描き方も丁寧で優しい本でした。好きです。2014/06/18