内容説明
異変はある日突然起った。腹話術師の人形クルコちゃんが、まるで生きた人間のように勝手に喋りはじめたのだ。人形の反逆!? 叱っても、ご機嫌をとっても一向に効き目はなく、彼女はますます横暴になるばかり。腹話術師の狂気が作り上げた妄想か? それとも、異次元の世界からの秘密の指令によって人形が何かを企んでいるのか? ショート・ショートの名手が贈る、異色の長編SF。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
セウテス
62
SFショートショートの星先生が、「気まぐれ指数」に次いで書かれた初期の長編作品。主人公は、クルコという人形がコンビの腹話術師。ある日突然人形のクルコが勝手に会話を始める。自分は別の空間に閉じ込められている何かだと言う。此れからこの繋がりを基に此方の世界へ飛び出し、世界を征服する準備中だと言うのだ。主人公の意識が造り出した、もう一人の人格の仕業なのか、それとも異世界の種族や悪魔が本当に存在しているのか。主人公の妄想ではないのかという疑念を読者に持たせる事で、不安感が増し独特の不思議感を演出している作品です。2015/12/16
Tetchy
51
果たして最後に勝ったのは夢魔か女医か?読中は恐怖感が襲うが、読後はやっぱり星印。2008/09/19
優希
50
星氏にしては珍しい長編小説でした。夢か現実か妄想なのか異次元なのか。描いている世界が曖昧ながらもスリリングな展開でした。それなりに面白かったですが、やっぱり星氏の作品はショートショートが好きだなと思います。2022/08/03
tomi
22
新装版で復刊された星新一の長編作品。腹話術の人形が勝手にしゃべり出した。しかししゃべるのは腹話術師の男、一体誰に操られているのか、それとも狂気による妄想か。ホラーサスペンスタッチで長編でも読ませる。ただ結末はちょっと微妙。2013/12/22
KANEO
18
星新一の長編はこれが初読。そのせいか妙に新鮮な不思議な読み心地。 星さんの読み易い文章は長編でも健在。 夢の世界からの侵略者、ということで、もしやサイコホラーか?と思わせる展開が中盤まで続くが、やはりそこは星新一。SFチックな真相が身を潜めていた。しかし、ストーリーの流れ自体はホラーのそれで、SFホラーとして楽しませていただいた。やはりホラーは日常の生活が徐々に変わっていってしまう過程が一番ワクワクする。 それにしても今回のSFギミックは分かり易いようでちょっと難しかったなあ。2014/10/06