内容説明
久留米駅を発車したばかりの東京行きブルートレイン“はやぶさ”がATS(自動停止装置)の作動で、突然筑後川鉄橋上で急停車、ダイナマイトと拳銃で武装した黒覆面の一味に襲われた。たまたま列車には元自由党幹事長と運輸政務次官のVIP二名が乗り合わせており、犯人側は現金五億円と逃亡用のヘリコプターを要求するのだが……。サスペンスとブラックユーモアが綾なすエンターテインメント巨篇。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
スターライト
9
草野唯雄の作品を何冊か読んでいたが、ツイッターで紹介していただいたので読んでみた。表4にあるあらすじ紹介を読む限りでは、ごくありきたりの列車強盗を扱った小説に思える。事実、途中まで読んでいても話は面白いのだが、よくある作品の一つではと思っていた。しかし、「はやぶさ」を襲撃してヘリコプターで逃走を図るあたりから俄然面白さがまし、それまで作者が貼っていた伏線が見事に回収され、最後で首謀格の男の動機が明らかにされるところで感心。そして仲間たちと再会して話し合うくだりも、ただのサスペンスに終わらせないのが痛快。2018/08/04