内容説明
「肖像というものは、不思議なものだ…そこに描かれた人間の、魅力ある個性がいつまでも生きていて、私たちに何事かを訴えかけてくるらしい」と著者は言う。三十六枚の名画に描かれた女性像をめぐり、そのイメージにこめられた女性の美やエロス、魔的なるものなどについて語った魅力あふれる美術エッセイ集。
目次
ピエロ・ディ・コシモ
ペトルス・クリストゥス
ヴィットーレ・カルパッチオ
カルロ・クリヴェルリ
パルミジャニーノ
コスメ・トゥーラ
アルブレヒト・デューラー
ルーカス・クラナッハ
ヤコポ・カルッチ・ポントルモ
ジョヴァンニ・ベルリーニ
シモーネ・マルティーニ
ピエトロ・カヴァルリーニ
ハンス・パルドゥンク・グリーン
セバスティアン・ストッスコップフ
サントロ#ボッティチェルリ
グリュネワルト
ヒエロニムス#ボッス
ハンス・メムリンク
ディエゴ・ベラスケス
グイド・レーニ
ルカ・シニョレルリ
ドッソ・ドッシ
ヤコポ・ツッキ
フランシスコ・ゴヤ
グスタフ・クリムト
レオノール・フィニー
マックス・エルンスト
アントワヌ・ヴィールツ
バーン・ジョーンズ
フェリックス・ラビッス
ロメロ・デ・トレス
ジェイムス・アンソール
ハインリヒ・フュスリ
オディロン・ルドン
サルバドール・ダリ
アングル
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
青蓮
111
昭和45年から47年にわたって「婦人公論」に連載されていた、女性の名画36枚をめぐるエッセイ。絵画の挿絵があるものの、大半がモノクロなので細かいところが良く見えないのが残念ですが、エッセイを読みながら頭の中で足りない部分を想像して補うのも楽しい作業でした。私の大好きなダリの作品「みずからの純潔性に姦淫された若い処女」や、クラナッハの有名な「ユディット」、本作で知ったアントワヌ・ヴィールツの「美しきロジーヌ」がとっても私好みの作品で、読んで眺めて非常に楽しかったです。ヴィールツの他の作品も見てみたい。2017/09/12
メタボン
31
☆☆☆☆ 何ともミステリアスだったり官能的な絵画、それも多くは女性の肖像画を、澁澤の確かな眼で選んできた美術エッセイ。どの絵もハッとさせられる美しさ、刺激があるのと同時に、澁澤の博学な解説も読んでいて楽しい。2021/06/18
ヴェネツィア
25
かつて「婦人公論」に3年間に亘って連載されていた、短い絵画論を集めたもの。ボッティチェリの『春』や、ルドンの『一つ目巨人』など、よく知られたものもあるが、中にはストッスコップフやヤコポ・ツッキといった、ここで初めて知ったような画家や絵もあった。そして、そのいずれにも衒学趣味に溢れた澁澤のエッセイが付くといった贅沢な書物。なお、絵画は数枚以外はモノクロなので、ウエブ上の画像で補えばより楽しめるだろう。2012/02/22
マッキー
18
澁澤龍彦の美術評論?のような本。エッセイのような易しい語り口で丁寧に解説されている。世界の婦人画を心ゆくまで楽しめる。2017/02/13
Tomoichi
16
ほとんど知らない画家ばかりでしたが、澁澤龍彦独特の視点での解説は面白くそれなりに楽しめました。芸術家ってやはり古今東西奇人変人ばかりというのも収穫でした(笑)2019/03/27