内容説明
ウォーターゲート事件の巻きぞえをくって囚人となったスターバックが回想する前世紀末の労働争議、サッコ=ヴァンゼッティ事件、世界大戦、赤狩り・・・・・・過去と現在が微妙に交錯しながら奏でられる八十年にわたる物語──現代アメリカ文学の巨匠が、人々への愛と怒りをこめて綴る〈新〉アメリカン・グラフィティ。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
chanvesa
25
メアリーの「アメリカ人にまだ思いやりの心のあることを、確認してほしかった(233頁)」意思、おそらく1970年代にはとうに消えてしまった感覚なのだろう。それは2020年代の日本においても、親切は公共広告機構がわざわざ話題にする対象だ。スターバックの「心の中をできるだけ空白にしていた。過去は腹立たしすぎるし、未来は恐ろしすぎるから(57頁)」ということは、現在でも共感できるかもしれない。そんな空洞の人間においても、「ハートを持った人たちが信じていたことを、信じようとした」ことにヴォネガットは望みを託した。2023/08/15
fseigojp
24
アメリカ現代史をいきた官僚の後日談 この私小説っぽいところが後期ボネガットの魅力だなあ2016/07/06
餅屋
14
第9長編▲ウォーターゲート事件の巻きぞえをくって囚人となったスターバックが回想する…▼キルゴア・トラウトの小説から始まるメタ構造に面喰った。本編に入るとスターバックの一人称になるのだが、この無様な爺さん――信用していいのか?語りは偏っているし、ご都合主義的な不幸に翻弄され続ける姿は、読んでいて正直つらい。ところが後半、物語が一気に開ける!スターバックスの語りが「歴史の語り」そのものの不確かさと重なり、気づけば怒涛の快進撃‼巨大企業RAMJACのシニカルスギル位置づけ、行く末が…サイコぅ♪デス(1979年)2026/02/21
明石です
9
『チャンピオンたちの朝食』以降のヴォネガットは、すべての登場人物に平等な価値を与えることを自らの作品のアイデンティティとしていたみたいですが、今作はさすがにやり過ぎな気がした。道端で出会ったまったくの赤の他人や、カウンター越しに立つ名もなき店員の身の上話なんてわざわざ書かなくていいと思う。主人公とその周辺の何人かをより深く描いてほしいのに、話があっちこっちに飛び過ぎて注意が散漫になってしまう。ストーリー自体も『母なる夜』の焼き直しといった感じで消化不良。ところどころ垣間見えるユーモアの奇抜さは健在だけども2021/12/10
Mark.jr
8
なんか的外れな感想かもしれませんが、「スローターハウス5」からSF成分を抜いたら、こうなるのかもしれないと思いました。2023/10/13




