内容説明
私は盗賊株式会社の社員。泥棒ごっこのオモチャの製造販売の会社ではない。れっきとした、泥棒を営業とする会社だ。そんな仕事があったのかと内心うらやましがる人も多いかもしれない。平凡な日常のくり返しにあきあきしている人ならば……。表題作の「盗賊会社」はじめ、斬新かつ奇抜なアイデアで、現代社会を鋭く、しかもユーモラスに風刺する36編のショートショートを収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
320
粒揃いで滅茶苦茶読みやすい230ページで36編。『最初の説得』『紙幣』『善意の集積』『打出の小槌』『無料の電話機』辺りがお気に入り。割りとエグいオチの物語が多めな印象。寝る前に一話か二話ずつコツコツ読んだので全くだれなかった。アベレージ高めではあるが、かわりに深々と刺さるものもあまり無かった気もする。ツイストのききかたが弛めなのだ。しかし宇宙人がいっぱい出てきて、ライトに楽しむ良作として、結構オススメしやすい。2016/08/29
こーた
220
過去の未来は現在である。インターネット、スマートフォン、人工知能、特殊詐欺。描かれる未来には、すでに実現した(してしまった)ものがたくさんある。異星人はまだやって来ていないけれど。過去の未来が実現して、じゃあ問題は解決したのか。いや、むしろややこしくなっているように、わたしにはおもえる。謎は深まり、事態はより複雑になって、人間はあまり変わっていない。作家が予測していたのに、だ。作家の描く空想に、わたしたちはもっと耳を傾けるべきではないか。絵空事と侮るなかれ。いまの未来は、ショートショートのなかにある。2019/01/17
nanasi
157
表題作を含めショートショートが36編収録されています。カバーデザインとカットは和田誠さんです。巻末にあとがきが収録されています。解説は収録されていません。「善意の集積」が一番好きです。2013/12/15
Tetchy
131
「雄大な計画」はものすごく覚えている。サラリーマンになった今、オレも同じ事をするな、絶対。2008/09/08
ゴンゾウ@新潮部
115
大阪万博の高度成長期に書かれた作品なんですね。現代に読んでも全く古さを感じさせません。本作は特にサラリーマン社会を中心にした世間に対する風刺が効いていてとても共感できました。星新一さんの目にはきっと未来が見えていたんだと思わせてくれます。 【新潮文庫の100冊 2018】2018/07/14