内容説明
“女”は可愛く、愛らしい。が時として底意地が悪く、また嫉妬深い――。かつて妻子ある教師と心中未遂事件を起こした東尋坊にいま、亡母の墓参りに夫と訪れた。何も知らない夫のひたむきな労りに心やすまるが、この安らぎもいつ崩れるか知れない。男と女の脆い結びつきを描く「蟹の爪」ほか、短篇五篇を収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
山内正
2
ああ私が迂闊だったと母が 妹の好美が夜になっても帰って来ない 再婚して出来た娘をもて余す様に 一昨年に夫が死に 加代子が主代わりに 洋服店を出し 朝方帰った好美が又直ぐ出掛けた 十歳違う妹が 警官が好美が事故たと知らせに来た 居合わせた圭一が同行すると連れ立った 運転してた男は死んだ 容態が分からず 圭一と二三度しか会ってなくて二人で食事した 家に戻った好美が訪れた圭一を出迎えた この頃圭一さん来ないわねと母が呟く 久々に訪れる電話があり 好美さんと結婚させて下さいと 母は狼狽え加代子は立上り仕事場へ 2023/06/25
山内正
1
婿養子に入り小まめに働きこの春亡くなり命日の墓参りに花が添えられ線香が残ってた 足元に光る飾りが 自分も同じ細工のがある 若くて大胆な大柄な女しか似合わない 一度も女の気配させず二十年もいたのか 月替り派手な服の若い女が墓参りに手を合わす 跡を付け女の部屋に 夫と二人の写真が もう四年になると知らない夫の話をする 生活費出してもらって 優しくて がつがつしない人だったと でも私結婚しようかと 彼死んだから 打ちのめされ墓参りは辞めようと家に帰る 2023/07/03
山内正
1
息子も遅く帰ったと 友達の河村のアパートに招かれてと写真を 二三人の女達は美しいとは言えず花嫁も老けて見える とうしてこんな子と結婚するのか 強情で意地の悪そうな女に見える 女から男に近づくのに気に入らない 息子の肩に手を掛ける女が不快に 何時も留守なのねと口の利き方有りますかと息子に言う 息子に秘密を持ち二年 女友達の店に行き 谷川に出会い 台所の改築を相談し親しく 夫は六年前に死んで 一度飲みに来ませんかと電話に断った事が 女友達の分かった風な口振りが気に入らないと言った後で恋人になってくれますかと2023/05/09
山内正
1
テレビに唐突に男の顔に口籠る喋り方に あれから二十年経っていると思えない若さ 木彫り江間俊一と名が出た 今は小さな町で洋裁の仕事をしている昌代 あの頃店を飾るのに木枠とガラスに絵をと 頼み姉の陽子が弟の俊一をアルバイト代わりに連れて来た 絵を描くと知り人に一枚売ってやり お礼にとスケッチ絵を一枚切り取って 布地に鋏を入れる横顔か 二十六で見初められ結婚して今の暮らしを 知人に話して工房が分かり会いに 誰かと顔で見られたが 姉というのが妻に 何故あの時嘘を2023/04/30
山内正
1
師走に寒い三国の駅に 兄からの母の死が知らされ流産の後と 葬儀に帰省せず四十九日にとやっと 学生の夫の配慮に当惑する 兄は家業継がず役所勤め 留守に訪ね 幽霊を見る顔で兄嫁は、葬儀にも帰らないでという顔で迎えた 香典を差出し兄嫁の愛想のなさが堪えた 女友達の旅館に風と波の音で眠れるかと あの時薬飲んでこれが最後と思ったのに 生き残った あの人はこの街を去った二十歳の時に 私から誘ってホテルへ行き、気が向いたら 付き合うと今の夫に 母親に年上の女と反対されても側にいる この東尋坊で 2023/04/27
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