新潮文庫<br> 同時代ゲーム

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新潮文庫
同時代ゲーム

  • 著者名:大江健三郎【著】
  • 価格 ¥924(本体¥840)
  • 新潮社(2014/03発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784101126142

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内容説明

海に向って追放された武士の集団が、川を遡って、四国の山奥に《村=国=家=小宇宙》を創建し、長い〈自由時代〉のあと、大日本帝国と全面戦争に突入した!? 壊す人、アポ爺、ペリ爺、オシコメ、シリメ、「木から降りん人」等々、奇体な人物を操り出しながら、父=神主の息子〈僕〉が双生児の妹に向けて語る、一族の神話と歴史。得意な作家的想像力が構築した、現代文学の収穫1000枚。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

377
父=神主から託されたミッションー「僕」を村=国家=小宇宙の神話と歴史を書く者にし、「きみ」を壊す人の巫女にするー「僕」は双子の妹である「きみ」に6篇の長い手紙でそれを語るのである。物語の舞台となったのは、他の多くの「偽自伝小説」と同じ村であると思われるが、大江の他の作品とは著しくその内容を異にする。ここで語られるのは、壮大にして精巧な、いわば偽神話と偽史なのである。語り直すことによって生き直す偽自伝群はわからなくはない。プルーストの営為を思うからである。では、大江は何のためにこの作品を書いたのか。⇒2022/12/13

優希

94
歴史と神話が絡み、多層的に語られています。双子の妹へと語る一族の物語は「村=国=小宇宙」をめぐる壮大な世界でした。異質さと虚構が強調され、一方通行的な時間の流れを問い直しているように感じました。無限の世界の中で選び取るゲームにより存在している「現実」は架空の世界にも通じていく。その行き着く先は普遍的深層の中に浸る社会というのが興味深いところでした。偶然と必然の交錯した混沌の摂理が極限のリアリズムへとつながる複雑性はありますが、面白かったです。2016/09/15

いちろく

58
妹への手紙のカタチで描かれた書簡体小説。一文一文だけを見たら独特な文章。それが描かれ続ける事により複雑さを生み、終わりの見えない広大な海を眺めている様な感覚に陥り色々な狭間へと誘う。改めて、実験小説の妙を遺憾なく体験した作品だった。最後に一言、自分ならこんな手紙を貰うのは、絶対に嫌だ。2018/04/05

ω

57
これが日本のノーベル賞作家だ😤❗️何年も積んでいたけれど逝去の報道を受け、心して読みましたω 大江先生の生家は私の地元の村と車で15分ほど、目にしたこともある。山の斜面を拓いた低いところ、川に沿った宅だった。この本も「水死」も在も谷も、没入してみたいならわざわざ愛媛の大瀬(内子)を訪ねてほしい。 空間×時間のユニットとは正に宇宙。村=国家=小宇宙がそこにはある‼️傑作。 ※読書中、30回は寝落ちしました😹😹2023/04/12

Vakira

47
君の輝くバター色の丸い臀部。炎のような恥毛のカラースライド、そして敬虔な僕のマスターベーション。小説っていろんなジャンルが存在するが、文学って何だろう。人生を問うなど発問小説などが文学なのか?僕は理系だったので文学という分類は取っ付き難い。SFと乱歩に出会わなかったら小説など読まなかったかもしれない。巷で文学とか呼ばれる本。例えばドスト本。かしこまらずに読んでみれば面白いじゃない。では個人的に勝手に命名しちゃいます。自分にとっては発問小説を読むことは文学ではなく、音楽と同じように文を楽しむ文楽だ。2019/02/13

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