内容説明
青春は、最も光り輝き、また絶望の時――。いったい私にとってヴァイオリンは何だったのか。恋人の焦燥と怒りで、左手を傷つけられた私に、皮肉にも亡き恩師ロゼーから名器グァルネリが贈られた。単身パリへ飛んだ私を待ち受けたのは、甘美な新しい恋だった――。女ごころの葛藤をきめ細かく描く!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
こみ
1
典型的な「どこにも行かない話」。主人公が決断一つでどうにでもなる不幸をいつまでも背負い続け、自分の性質や他人のせいだと言い訳を積み重ね、延々過去を振り返り、ろくに状況を変える努力をせず、最後は都合よく現れた優しい誰かの言動でなんとなく前向きに終わる。美しい、あるいは面白い文章表現は多々あるものの、飾りによって中身の性質が変わるわけではない。日本の女流作家にこういう作品が多いのはなぜだろう。不幸な自分に酔いたい人が多いのだろうか。共感しづらいし、この後主人公が本当に状況を改善できるとも思えないのだが。2018/05/27
greenish 🌿
0
青春のすべてをヴァイオリンにかけていた主人公・澪子が恋人から負った致命的な左手の傷。そんな時、恩師の訃報とともに遺贈されたイタリアの名器・グァルネリ。パリに渡った澪子を待ち受けていた新たな恋の行方とは…。男と女の激しい愛憎、孤独、挫折、嫉妬。登場人物たちが抱えるさまざまな“傷”のなかに、美しくも残酷な人生の光と陰を鮮烈に浮かび上がらせた森瑤子の傑作恋愛長編