内容説明
ロジャー・シェリンガムが創設した「犯罪研究会」の面々は、手掛りがわずかしかなく、迷宮入り寸前の難事件に挑むことになった。被害者は、新製品という触れ込みのチョコレートを試食したベンディックス夫妻。チョコレートには毒物が仕込まれており、夫人は死亡、ベンディックスは一命を取り留めた。しかし、そのチョコレートは知人のペンファーザー卿へ送られたもので、ベンディックスはそれを譲り受けただけだったのだ。会員たちは独自に調査を重ね、自慢の頭脳を駆使した推理を、一晩ずつ披露する――。誰がこの推理合戦に勝利するのか。本格ミステリ史上に燦然と輝く、傑作長編。
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- 評価
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シャントットの本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
725
本書はミステリーの古典と位置付けられているらしい。起こった事件はただ一度だけ。したがって事実も一つ。芥川の「藪の中」を思わせるような構成だ。「藪の中」では事件の被疑者たちがそれぞれに自分たちの目撃譚を語ってゆく。一方、こちらは6人の素人探偵たちが事の真相に迫ろうと試みる。私も小説の早い段階で事件の推理を試みた。そして、6人のうちの誰が真相を解き明かすのかも。前者では後半に推論を述べたある人物とほぼ同じであった。ハズレ。また、後者については小説の構成原理からしてこれしかあり得ないだろう。これは当たった。2016/10/07
Kircheis
445
★★★★☆ 言わずと知れた「多重解決」物の元祖。 ある未解決の事件を題材に、シェリンガムが主催する犯罪研究会の会員6名が推理合戦をする。 各人が順にもっともらしい推理をするが、いずれも綻びがあり、最終的にチタウィックの衝撃的な解答で幕切れとなる。しかし、面白いのは最後の解答が正解とは限らない点である。 ミステリ好きであれば必読の名作だが、展開される推理の全てが素晴らしいとは言い難いのと、前の推理を否定する根拠が後出しの新情報というパターンが多いのがやや残念。2022/06/04
夜間飛行
294
警察が諦めた毒殺事件を巡り、犯罪研究会の会員が一人ずつ推理を披露していく。その事件とは…富豪夫妻が毒入りチョコを食べ妻は死に夫は助かった(ただしそのチョコは別の人への贈物を譲り受けた物)。この偶然の連なりに殺意はどう関わるか。前の推理を切り崩し次の推理を語るリレー方式が面白い。通常のミステリでは探偵の目的は犯人捜しのみだが、ここでは推理ゲーム(真剣勝負)という座標軸が加わる事で目的は微妙にずれ、事件はメタ性を帯び、探偵の語り口も変わる。そして何よりもこの推理は多声だ。結末に読者をも参加させる意図を感じた。2022/03/20
遥かなる想い
234
ぱっとしない題名とは裏腹にこの構成は大胆なものである。すなわち、「同一事件に対して、6人が推理を挑み、六様の解決策が示される」 しかも各々が読んでいると、妙に説得力があって、楽しめる。ただ、どうせ最後の推理が解なのだからと思ってしまって、途中の5案までは どうしてもまじめに読まないという難点があったのは事実。作者の大いなる実験だったのか?2010/05/15
nobby
180
うん、これが『毒入りチョコレート事件』なんだね♬貰い物の試作チョコレートを口にして毒殺された女性。迷宮入り手前の事件に挑む「犯罪研究会」。そこから始まる6人による推理合戦(笑)それぞれ一日毎に担当決めて、自説を展開するのが面白い!安易過ぎるとのツッコミから始まり、徐々にワクワク止まらずすっかりのめり込んでしまった。まずは名指す犯人が皆違うことに驚くばかり!そして起承転結ともいえる盛り上がり構成が絶妙!なるほど毒を入れるのはチョコでないとダメだよね。思わせぶりなラストにも終盤から怪しんでた自分には想定通り♬2020/02/16
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