内容説明
四国・新居浜市の僻村青岩村で、暮れも間近い十二月八日深夜、火事が起きた。三人が焼死し、一人が大火傷を負った。平穏無事な青岩村にとって大事件だった。が、出火原因は不明であった。ところが、目撃者がいた。真鍋昭子は、山の端の空から落ちてきた赤い火の塊りが、藁屋根に衝突してたちまち火の手が上がるのを見たのだ。空から落ちてきた火。それが青岩鉱山の雪を血で染めた惨劇の始まりであった。
感想・レビュー
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スターライト
8
以前読んだ『死霊鉱山』によく似た作品だが、導入部の火の玉で火事というのが読者の興味をそそる。作者お得意の鉱山を舞台に、雪の中取り残されたメンバーが不可解な事故で次々と死んでいく。犯人と思われた人物までが亡くなり、読者は登場人物と一緒に犯人を捜すことになる。霊や祟りを信じない悪役の萩尾武俊までがその存在を信じるに至って、物語は最高潮に達する。はたして昔虐殺された人々の呪いか、妹を殺された兄の復讐か。最後の日記によるネタばらしは親切なようだが、謎のまま終わらせてもよかったかも。サスペンスフルな佳品。2018/09/16