新潮文庫<br> 恋愛論

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新潮文庫
恋愛論

  • ISBN:9784102008058

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内容説明

恋の猟人であった著者が、苦しい恋愛のさなかで書いた作品である。自らの豊富な体験にもとづいて、すべての恋愛を「情熱的恋愛」「趣味的恋愛」「肉体的恋愛」「虚栄恋愛」の四種類に分類し、恋の発生、男女における発生の違い、結晶作用、雷の一撃、羞恥心、嫉妬、闘争などのあらゆる様相をさまざまな興味ある挿話を加えて描きだし、各国、各時代の恋愛について語っている。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

のっち♬

76
「あなたは恋をしたことがありますか?」恋愛と呼ばれる情熱を構成するあらゆる感情の細密な記述。そこに法則性を見出していく巧妙な弁論術は圧倒的。結論への大胆かつ唐突な飛躍を随所で見せたりと、著者の思考過程は自由奔放で退屈させない。気どるな、時には危険に身を晒せ、幸福は自分で作れ、誰からも好かれる人は深くは好かれないなど、著者なりのメッセージ性も随所に見られる。恋する者が想像上の美点を相手に付与する『結晶作用』という単語は本書の鍵を握るキーワードだろう。生き、書き、愛した男の絶えざる考究がここに結集している。2019/04/25

優希

61
苦しい恋の最中に書かれた「恋愛論」。自ら体験したからこそ恋の全てを語っていたと思いました。恋は「美しい」のみならず、あらゆる様相を持ち合わせている。興味深いことです。2020/10/21

マウリツィウス

24
スタンダールの求めた恋愛ヴィジョンとは文学的探究の意図を含めている。シェイクスピア論で定着した英断と愚考を併せた論集はキリスト教における恋愛制度を批判しながらも正しい信仰と誠実を問い続ける。その起源にある旧約聖書『雅歌』に基づく理論はホメロスとの隔絶を告げる。アガペー/エロス逆転理論を本軸とした新約/ギリシャ反転論において偉人達の試みは無とされ最愛の生命とは人類の齎した礎と生活に位置すると定義したスタンダールは始祖二人の過ちはエゴの複雑集合に過ぎず悪夢は正しきヴィジョンに転換される。人と人との必然思慮集。2013/05/25

テツ

21
恋も愛もそれにまつわる諸々の出来事も人それぞれ形が異なる。一般化も平均化もできないからこそ人はみな自分だけが直面したオリジナルなそれに右往左往し、他人がどう対応したのかについて知りたくなる。スタンダールが説く恋愛。時も場所も大きく隔たりがあっても思い悩むこと自体は変わらない。恋愛に溺れて破滅するのはアホらしいけれど、そこに嵌る感覚は心地良いもの。例えそれが泥沼であろうとも。2020/03/29

まちゃ

13
自分用メモ 結晶作用 想像力が働き発生する精神作用。人を愛するとその人の欠点が見えなくなってしまう精神作用、普通に見て醜い物が美しく感じるというように主観的になり愛する人を美で飾り立てる。 愛が冷めるとどうなるか→人は愛することを辞めた後にやっと冷静になる。愛し合った後に愛した事を恥ずかしく思わない人はいないという皮肉。 人間の生活は未完の菜園 最終的には人間には限界がある。人生は有限だが無限と思える体験をしたいと思いました。出会いの偶然を人生の必然に変える。という言葉が印象的。2020/10/13

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