内容説明
その時、みかん色の灯が山頂に点ったのを貴久子はみた。だが、それは二人が誓った愛の合図ではなく、絶望的なSOS信号であった。翌日K丘頂上付近で、半身雪に埋もれた男の死体が発見された。徹底的な調査の結果、ヘルメットの破損部分に重大な事実が隠されていた! 北アルプスの高峰に「密室」を構築した著者の本格推理の最高傑作!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
雪紫
15
出世のために恋人に捨てられた女性を巡る山の愛憎劇。山の美しさや怖さ、完全犯罪が少しの疑惑から打ち砕かれていく描写など読みやすく一気に引き込まれた。荼毘にする描写が細かく、子供心に怖かった(初読時子供だったし)。恋人に捨てられ、新たに得た恋人を殺された果てに貴久子が得たもの、得そうで出来なかったものが何処か寂しくむなしい余韻を残す。山は美しいけど残酷である。
ボブ
3
初期作品は本格推理ものなんだよな、一本調子な物語だけど、中々面白い。トリックも良し。2022/02/24
micky
3
山岳推理小説。 恋愛関係のもつれと、山での殺人は、よくあるパターンですが、これは手がこんでいた。死者を、野辺で荼毘にする場面の 描写がすごい。2012/10/26
jupiter68
2
kindleで再度読む。このような作品は森村誠一の初期のものかなあ?荒削りたけど、細かい部分での説明が丁寧でのめり込める。氏の趣味なんだろうけど、登山に対する知識が相当あり、それだけで我々をうならせてくれること請け合いだ。ただし、今回ザイルで結ばれた家族以上の仲間に対して行ったこと、そんなことが題材になっているが、本当にあるのかは疑わしい。2015/05/16
ヒマヤラン
2
途中で、このまますんなり行くはずないよなあ、と軽く考えていたら二転三転する展開にニヤリとさせられた。文章がキレイで読みやすかった。2014/11/22




