内容説明
将来を嘱望された陸軍大尉の小武は右腕負傷の憂き目にあう。偶然にも同じ傷で同期の寺内と病院で一緒になるが、小武は切断、寺内は腕を残した施術となった。廃兵となった小武はしだいに転落の気分を味わうが、いっぽうの寺内は……。カルテの順番という小さな偶然がわけた人生の光と影を、的確なタッチで構築した直木賞受賞作に、人間の皮肉を巧みに描き出した「宣告」「猿の抵抗」、若く美しい女に潜む戦慄をあつかった「薔薇連想」の三篇を加えた卓抜な作品集。
感想・レビュー
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kaoru
12
面白い。外科医でもある作者の短編集。表題作は、ほんの偶然で運命が分かれた二人が再会した後の展開が秀逸。運命が逆に作用していたら?と考えてしまいます。他では「宣告」が良いです。不治の病の告知がテーマ。2016/09/24
シンチャイナ
1
医療を主題に描いた4っの短編集。西南戦争で腕を負傷した大尉2人をとらえた、光と影、梅毒に感染した女のその後を描いた 薔薇連想が良い2018/01/11
けん
1
整形外科医で作家は、当時としては、珍しかったらしい。ノンフィクション?と思わせるほど、面白い。2015/05/06
発起人
1
読みやすく疲れない-渡辺淳一の第63回直木賞受賞作を含む短編集2006/02/21
きりだんご⭐️新潮部
1
●家にあるのを再読2011/09/10