角川文庫<br> 野火

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角川文庫
野火

  • 著者名:大岡昇平
  • 価格 ¥352(本体¥320)
  • KADOKAWA(2013/09発売)
  • ポイント 3pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784041211045

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内容説明

昭和26年「展望」に連載、読売文学賞を受けた。いわゆる「戦後作家」の最も早期の作家として登場した作者は、かつての大戦の歴史的現象の中で精神をどのように試練されたか。戦後文学「野火」には、近代の西欧文学と競おうとする作家の意欲と、大戦で味わった精神の所産の二つが火のような要求となって結晶している。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

背番号10@せばてん。

32
【1951_読売文学賞】1994年9月19日読了。終戦から76年。祈りの月に。(2021年8月12日入力)1994/09/19

佐島楓

28
「永遠の0」の流れで再読。初読は中学生の頃で、しばらくショックが抜けなかった。人とは何か、神とは存在するのか。太平洋戦争下、主人公は南洋の戦地をさまよい、民間人を殺し、死者の横たわる道を行き、不可抗力とはいえ人肉を食することで命をつなぐ。神とは何なのか。この地獄絵図を意図したのも神なのか。人とは武器を使う「猿」に過ぎぬのか。極限の中、人は人でいられなくなってしまう。こんな思いをして亡くなったかたが大勢いらっしゃる。「永遠の0」は資料の中の戦争、この作品は実体験に基づくものである。これこそ文学。2013/09/09

山猫

25
ひかりごけとかアンデスの聖餐とか、人はいろんなシーンで食人というタブーを犯さざるを得ない状況に追い込まれる可能性がある。その時に私はどうするのだろう?現在だって菜食主義者みたいな食生活を送っているのに、いきなり人間を食べたりできるものだろうか?おそらく現実ではそうなる前に、自分が死んでいて、食べられる側に回っているとは思う。思うが、そこは食べる側に立ったとして考えなきゃいけないんだけども、やっぱり考えることからして無理だ。

mm

19
個人的戦後70年を噛みしめるキャンペーンその一。戦争そのものを扱うというより、戦争によってもたらされた究極状況で人はどのような行動が取り得るのかという小説のようである。人間関係の基本は信頼性だとか、自己肯定感は大事とか、前提のように扱われる事柄も、見事に吹っ飛ばされる。哲学的でもあり宗教的でもあるが、そのような視点を用いなければ、生死の界を書く事は出来ないであろう。人間の意識のわけわからんさをのぞきこんで、その深さに背筋も凍る思い。怪談より怖い。2015/08/18

tsu55

13
米軍のフィリピン奪還作戦に抗しきれず壊滅状態に陥ったレイテ島の日本軍。 物資の補給も途絶え、残された兵士はあてもなく島内を彷徨うばかりだった。 極限状態のなか、生命を繋ぐために「略奪してはいけない」「人を殺してはいけない」「人肉を食べてはいけない」といった人間としての規範が次々と崩れていく。 生きていくためには、他の命を奪わなければないという、人類の原罪は、国家からも軍からも見放されたひとりの敗残兵には背負いきれない重さだったのだろう。2017/05/20

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