内容説明
水産庁の漁業調査船に船医として乗りこみ、5カ月間、世界を回遊した作者の興味あふれる航海記。航海生活、寄港したアジア、アフリカ、ヨーロッパ各地の生活と風景、成功談と失敗談などを、独特の軽妙なユーモアと卓抜な文明批評を織りこんで描く型破りの旅行記である。のびやかなスタイルと奔放な精神とで、笑いさざめく航跡のなかに、青春の純潔を浮彫りにしたさわやかな作品。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
496
この本を初めて読んだのは中学校2年生の時。世の中にこんなに面白い本があるのかと、終始興奮の面持ちで読んだ。それ以来実に久方ぶりの再読。今思えば、日本からアジアを経てスエズ運河を越え、リスボンを皮切りにアントワープやパリといった遥けきヨーロッパの街々を訪ね歩くところに切ないまでの憧れを喚起されたのだろう。その頃は、自分がヨーロッパに行く(行ける)ことは全く想定していなかったが故に、なおさらであった。あるいは朔太郎のように「フランスへ行きたしと思えどフランスはあまりに」遠いところであった方がよかった⇒2020/02/24
hiro
155
初めてこの本を読んで北さんの本が好きになり、一時期、小説・エッセイを問わず手当たり次第に北さんの本を読んだ。北さんが亡くなり、もう一度この本を読みたいと思っていたが、フジTV「ボクらの時代」総集編スペシャルで北さんを観て、何年か振りに再読することにした。50年以上前に書かれた本だが、今読んでも面白い。そして読んでいて、細かいところを鮮明に覚えていたことに自分でビックリし、『どくとるマンボウ航海記』が好きだったと再認識した。どくとるマンボウシリーズをもう一度読んでみたいが、次は『巴里茫々』を読むことにする。2012/04/04
扉のこちら側
101
2016年321冊め。医局内の雑事から逃れるために『宇宙精神医学研究室』の看板を勝手に掲げていた著者が、ノリで船医になって旅した記録。盲腸の手術も「宇宙精神医学研究室主任である私は、こんなオナカの手術なんぞあらかた忘れてしまっている」とか「書かない方がいくらかマシなことだけを書くことにした」とか、戯言の嵐が面白い。真面目な話をすると、アフリカ大陸の国々の独立前夜という時代の怪しい・危ない雰囲気は感じられる。2016/05/09
KAZOO
92
何度目かの再読です。この本で私は高校時代に北杜夫のとりこになってしまいました。当時海外というのはどこかはるか遠くのことのように感じていたのですが、この本を読むことによって身近な感じを覚えたものです。しかもユーモアあふれる書き方で肩がこらないきがします。今読んでも昔はゆったりしていたのだなあと感じます。2014/12/22
猿吉君
86
精神科のお医者さんがマグロ漁船に乗って世界を旅する、面白エッセイの元祖は中身がみっちり入っていて幕の内弁当みたいでした。①かなり昔の話なので古典として読むのが良いのかも。②私が好きな開高健さん、東海林さだおさんや椎名誠さん、小泉武夫さんのさっと読める流れるような文体とは違い、面白く書いているけどその裏の深い知性が見え隠れするのがちょっと読むリズムを崩していると感じました。点数70/100→面白いのですが、古さは隠しきれず読むのが遅すぎたのかも、学生時代に読んでおけばよかったと何故か凄く思った作品でした。2023/04/05
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