内容説明
場内が一瞬、静まりかえった。いよいよ新型カラーテレビの公開実験だ。スイッチが押された! だが、画面にうつし出された映像は意外にも……。大混乱に陥った会場で茫然と立ちすくむ主任技師渋谷夏雄。日本のエジソンと呼ばれ、弱電業界で一人脚光を浴びる新進の技師だ。彼の技術がもたらす膨大な利権をめぐり、大企業のどす黒い陰謀が渦巻く。社会の現実と友情の板ばさみに苦しみながらも、信念をつらぬく三人の若者を描いた、著者会心の長編傑作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ハロー
3
組織に組み込まれちまえばただの駒。友情も何もあったもんじゃない。人間不信になる一作です。2017/10/01
yomineko@ヴィタリにゃん
2
過酷で熾烈すぎる。昔の男性社会の厳しさを描いた優秀な作品。2017/11/03
にゃー
1
昭和のビジネス雰囲気最高。そして衝撃のラストに唸る。2024/07/07
sensei
1
帝都大学の山岳部の三人、岩村、渋谷、花岡は、学生時代最後の後ろ立山連峰の不帰第二峰の登攀を終え、其々の新しい道を歩きだす。岩村は、東京の菱井電業、花岡は、大阪の協和電機という大手企業に、渋谷は、名古屋の星川電機という上場二部の余り大きくない会社に就職する。渋谷が次々と新しい製品を開発し電機業界に新旋風を巻き起こしたため、菱井と協和の社長が岩村と花岡の其々に渋谷のスカウトを命じられが、二人共断れたため、協和電機は、星川電機の新製品について偽情報を流し、製品発表時に細工をして、株価操作をした挙句吸収合併する。2020/05/22
jupiter68
1
これは初期作品か?荒削りな印象を受けるが、非常に揺れ動く心理描写が面白かった。悪人の行動に辟易していたが、最後は何か人間的なものに戻してくれる。Kindleで再読してよかったと思う。