内容説明
赤痢菌培養液がたっぷりと手に揉みこんだ男が従業員食堂のめし櫃のしゃもじを握った! 翌朝、三百名の欠勤者を出したホテル大東京は完全な麻痺状態に陥り、直ちに営業を停止した。出世欲に燃える男を巧みに利用する東都ホテル社長。ライバルのホテルの評判を落とすべく密命を受けた高村博は、餌につられて必死に画策する。しかし、犯罪まがいのことまでして成果を上げた彼を待っていたものは……。冷酷な大企業の腐蝕した内面を鋭くえぐる森村誠一の力作!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よっちゃん
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森村氏初期の作品。皮肉な結果お気の毒。2016/08/14
スタッフW
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これは会社に入って2、3年のうちに読んだ本なので、今から18年ほど前になるか…。 当時の僕はホテル併設のレストランに配置されていたので、この本が非常に面白く、のめり込むように読んだ事を覚えている。 別の方も書いてらっしゃるが、ラストのオチがなんともいえず、良い。 良いというか、嗚呼無常、みたいな…。
アヴィ
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乱歩賞を受賞しミステリー作家としてデビューする前に、既にビジネス小説の書き手として何冊か出版されていたことは知られた話だが、本作もその時期に世に出た1冊。入社が決まった会社から密命を受け、ライバル会社に入社し、そして…。森村文体はこの頃既に完成していて、内容も皮肉なラストがタイトルの意味と相俟って面白いのだが、このプロットは星新一のショートショートにほとんど同じものがあり、それが気になって仕方がない。2024/10/29